タイトル |
良質・良食味で病害虫複合抵抗性の水稲新品種「むさしの1号」、「むさしの2号」 |
担当機関 |
埼玉県農林総合研究センター |
研究期間 |
1992~2001 |
研究担当者 |
岡田雄二
関口孝司
戸倉一泰
荒川誠
小指美奈子
新井登
石井博和
大岡直人
大塚一雄
渡邉耕造
武井由美子
箕田豊尚
矢ヶ崎健治
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発行年度 |
2001 |
要約 |
水稲「むさしの1号」、「むさしの2号」は「コシヒカリ」並の良食味で縞葉枯病、ツマグロヨコバイ抵抗性をもち、いもち病にも強い病害虫複合抵抗性を兼ね備えた品種である。外観品質も優れ、また、耐倒伏性は「強」、穂発芽性は「極難」など複合耐性をもつ。
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キーワード |
水稲、むさしの1号、むさしの2号、病害虫複合抵抗性、良食味
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背景・ねらい |
環境に対する社会的関心や健康・安全志向が高まる中、環境にやさしい農業の推進と消費者に安全な農産物を供給することが求められている。埼玉県では平成8年に減農薬栽培が可能な病害虫複合抵抗性品種「彩の夢」を育成しているが、食味が不十分であることから作付けは伸びず、平成12年には奨励品種から除外されている。そこで、良食味で病害虫複合抵抗性品種の育成を目指す。
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成果の内容・特徴 |
- 「むさしの1号」、「むさしの2号」は平成4年に縞葉枯病・穂いもち抵抗性、良食味の「愛知92号(祭り晴)」を母に、縞葉枯病、ツマグロヨコバイ抵抗性の「玉系88号(彩の夢)」を父として人工交配を行い育成された姉妹系統である。
- 「日本晴」と比べ、早植では出穂期は2日遅く、成熟期は3日遅い。普通植では出穂期は1~2日早く、成熟期は1~2日遅い晩生種である。
- 「日本晴」に比べ、稈長は「むさしの1号」は7cm、「むさしの2号」は22cm短い。穂長は0.3~0.6cm長い。穂数はやや少なく、草型は中間型である。
- 強稈で耐倒伏性は強。穂発芽性は極難である。
- 葉、穂いもち抵抗性は強、縞葉枯病には抵抗性遺伝子Stvb-iを有すると推定され抵抗性、「中間母本農2号」からツマグロヨコバイ並びに萎縮病抵抗性を継代していると推定される。白葉枯病には「むさしの1号」はやや弱、「むさしの2号」は中である。
- 千粒重は「日本晴」に比べ、「むさしの1号」は1g程度小さく、「むさしの2号」は同程度。外観品質は乳白、腹白の発生が少なく良好である。
- 収量性は「日本晴」に比べ、「むさしの1号」は早植では同程度、普通植ではやや多収。「むさしの2号」は早植ではやや低収、普通植では同程度である。
- 玄米の粗蛋白質、アミロース含量は「日本晴」より明らかに低く、食味は飯米の粘りが強く「コシヒカリ」並の「上の中」である。
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成果の活用面・留意点 |
- 温暖地平たん部の早植から普通植栽培地帯に適する。
- 耐肥性の高い短稈品種なので、やせ地には適さず、適正な施肥管理が必要である。
- 「むさしの1号」は白葉枯病にやや弱いので常発地には作付けを避ける。
- 縞葉枯病、ツマグロヨコバイ、いもち病以外の病害虫には適正な防除を行う。
- 品質を保持するため、刈取り、乾燥調製を適切に行う。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
萎縮病
いもち病
害虫
乾燥
縞葉枯病
新品種
水稲
施肥
抵抗性
抵抗性遺伝子
抵抗性品種
農薬
品種
防除
良食味
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