タイトル |
温室密閉処理による夏キュウリの病害虫発生抑制 |
担当機関 |
神奈川農総研 |
研究期間 |
1997~2001 |
研究担当者 |
佐藤達雄
久保深雪
瀧口 武
松浦京子
成松次郎
水野信義
高柳りか
|
発行年度 |
2001 |
要約 |
夏キュウリの施設栽培において、45℃が1時間持続するように温室密閉処理を行うと病害虫の発生抑制ならびに草勢維持に効果がある。品種は耐暑性の強い「大将」などが適し、10日当たり2~3回程度処理する。ダニ類には効果が認められないが、べと病、うどんこ病、アブラムシ類、オンシツコナジラミ、アザミウマ類の発生を抑制できる。
|
キーワード |
キュウリ、温室密閉処理、ヒートショック、病害虫防除、環境保全型
|
背景・ねらい |
夏期の施設キュウリは草勢の低下が早いうえ病害虫の発生が甚だしく、薬剤防除に多大な労力を必要とする。そこで、簡便な耕種的防除法として温室密閉による高温処理に着目し、病害虫発生抑制と草勢維持の効果を検証し、実用技術を確立する。
|
成果の内容・特徴 |
- 5~6月まき施設キュウリにおいて収穫開始期より、換気温度を一時的に45℃に設定し、室温45℃が1時間持続するように温室密閉処理を行い、処理後は直ちに開放する(図1)。
- 本処理には、栽培試験とクロロフィル蛍光測定法による耐暑性評価の結果から、「大将」と「アンコール10」が適している(表1)。
- 日中(11:30~13:30頃)の密閉処理は、慣行栽培と同等以上の収量が得られる。密閉処理が収穫、管理作業の支障となることはない(表2)。
- 反復処理を行うことによって、べと病、うどんこ病、アブラムシ類、オンシツコナジラミ、アザミウマ類の発生がほぼ完全に抑制される。処理の時間帯は4:30~10:30が最も効果的であり、11:30~13:20の処理はダニ類に対する効果がない(表3)。
- 本処理による病害虫発生抑制のメカニズムは、高温による直接的な防除効果が主因であるが、キュウリの病害抵抗性関連遺伝子の発現も関与している。
|
成果の活用面・留意点 |
- キュウリの減農薬栽培に活用できる。
- 施設を密閉することにより45℃以上の室温を得ることができる作型に適用する。
- 葉やけ防止のため、45℃の密閉処理を行う前に、室温上限を40℃とした馴化処理を一週間程度行うとよい。
- 処理の効果を上げるため、温室密閉前に畦間かん水等を行って、施設内が高湿度になるように留意する。
- 温室密閉処理は天候に影響されるが、10日当たり2~3日、連続した処理を行えば、ダニ類以外の病害虫はほぼ抑制できる。収穫期後半は処理間隔をあけ、薬剤防除と併用しながら収量を確保する。過度の処理によって落果や不良果が発生する場合は処理時間あるいは処理回数を減らす。また、施設内に温度ムラが生じないよう注意する。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
病害虫
うどんこ病
害虫
きゅうり
施設栽培
耐暑性
農薬
病害虫防除
病害抵抗性
品種
防除
薬剤
|