大型送風機を用いたイネいもち病の防除

タイトル 大型送風機を用いたイネいもち病の防除
担当機関 岐阜県農業技術研究所普及技術指導室
研究期間 1999~2001
研究担当者 成田和隆(松下精工エンジニアリング)
田口義広
百町満朗(岐阜大学)
発行年度 2001
要約 いもち病の初発生期から収穫期まで、毎日午前と午後に約30分、イネに送風機を用いて風速約4m/sの風を水田全体に送風し、イネ体上の水滴と胞子を脱落させるといもち病の発生を著しく抑制できる。
キーワード イネ、いもち病、送風防除
背景・ねらい 改正JAS法に基づく有機栽培米を生産するには、いもち病などイネ病害に対して無農薬による防除技術の開発が重要である。また、中山間地帯ではいもち病が常発し、その防除には多数回の農薬の使用と労力が費やされている。そこで、今日まで検討されたことがなかった風によるいもち病の発病抑制効果を明らかにし、防除技術として確立する。
成果の内容・特徴
  1. 送風手段として旋回型の羽根径110cmの大型送風機を水田畦畔の高さ5mに設置し、風速4m/s程度の風を水田全体に送風する。送風機の旋回角度は150°で、送風機からの距離25mが効果範囲である(写真1)。送風期間はいもち病の初発時期から収穫間際まで毎日行う。
  2. 送風は時刻午後10時と午前4時に30~40分間、旋回送風させて風力により葉上及び穂上に形成された結露水滴と溢泌水滴を除去し結露の継続を中断させる(図2)。イネ体上の水滴が消失し日の出後の湿度の低下が促進され、これに伴い気温の上昇も早くなる。
  3. 送風は、葉上及び穂上に付着しているいもち病菌胞子を水滴とともに脱落させ、葉上に残った胞子の発芽率を低下させる。
  4. これらの風力による感染を阻害する効果で、葉いもち及び穂いもちの発病を抑制することができる。葉いもちに対する効果は著しく高い。穂いもちは出穂後25日くらいまで発生が少ないが、以後の発病はやや多くなる(図1)。
  5. 送風を行った試験水田の玄米収穫量は、試験期間3年間を通じ、無防除栽培に比べて著しく増収した(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 本機は、いもち病の常発地帯で使用できる。温湯による種子消毒と組み合わせれば殺菌剤を使用しない米の栽培が可能である。
  2. 施肥量は慣行と同程度かそれ以下とする。送風によって倒伏を助長することはない。
  3. 送風時刻、時間及び回数は地域の結露開始時間により決定されるので、結露条件を調べる。
  4. 送風機の価格は1機当たり約45万円である(数が増えれば安価になる)。本機を稼働した全期間の電力料金は1機当たり年間17094円以下(基本料金8960円、電力料金7320円に消費税加算)である。
図表1 216655-1.jpg
図表2 216655-2.gif
図表3 216655-3.gif
図表4 216655-4.gif
カテゴリ 有機栽培 病害虫 いもち病 種子消毒 水田 施肥 中山間地域 農薬 防除

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