タイトル |
水稲種子籾の簡易貯蔵法 |
担当機関 |
新潟農総研 |
研究期間 |
1996~2000 |
研究担当者 |
原田惇
浅井善広
中嶋健一
長澤裕滋
田村隆夫
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発行年度 |
2001 |
要約 |
水稲種子籾は、乾燥剤とともに、気密性が高く水蒸気を通しにくいラミネートフィルム製の包装資材で密封包装し、水分を11%程度まで下げることで、湿度調節ができない一般米穀用低温倉庫貯蔵でも1年半の間、発芽力を保つことができる。
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背景・ねらい |
水稲種子籾は計画的に生産されているが、需要の変化等によって種子籾の需給バランスが乱れることがある。余剰となった種子籾を高い発芽力を保ったまま、生産時から翌々年の春の育苗まで1年半以上保存できる貯蔵法が必要である。そこで、湿度調節設備のない低温倉庫を利用し、発芽力を維持しつつ簡易に貯蔵できる包装資材及び籾水分低下法を明らかにし、種子籾の有効利用を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 「コシヒカリ」では種子籾の水分を11%以下にすることで、24ヶ月目まで90%以上の発芽率を安定して保つことができる(図1)。
- 一般米穀低温倉庫内の湿度は作業時の開閉等により変動が大きい。ラミネートフィルム袋で包装、貯蔵することで、紙袋に比べ包装内の湿度変動を小さくすることができる(図2)。
- 種子籾2kgを、乾燥剤として不織布で包んだシリカゲル300gとともに、ラミネートフィルム袋で密封包装することで、種子籾水分を11%程度に低下できる。「コシヒカリ」では貯蔵開始1年半(19か月目)まで、湿度調節された種子貯蔵庫と同等の90%以上の発芽率を維持できる(図3、表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 乾燥剤としてシリカゲルを使用すると再生使用が可能である。
- 乾燥剤の必要量は種子籾の量及び初期水分、包装資材の水蒸気透過性及び表面積等で変わるので、乾燥剤の必要量はJIS Z0301‐1989に示される防湿包装方法によって算出する。種子籾を大量に貯蔵する場合は、乾燥剤の配置を均等にして種子籾水分が不均一にならないよう留意する。
- 休眠性の浅いもち品種や高水分収穫籾等、湿度調節された種子貯蔵庫における貯蔵でも発芽力が低下しやすい種子では、本貯蔵法を用いても発芽力を長期間保つことは出来ない。
- 乾燥剤の添加で種子籾水分はかなり低下しているため、種子予措に当たっては塩水選は行わない。種子籾の休眠は完全に覚醒していることに留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育苗
乾燥
水稲
品種
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