高級銘柄牛肉産地における生産・販売管理

タイトル 高級銘柄牛肉産地における生産・販売管理
担当機関 (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 1999~2001
研究担当者 森江昌史
発行年度 2001
要約 高級銘柄牛肉産地では、リーダー的生産者とくに銘柄産地化の目標をもつ者を中心に、肥育技術の上位平準化がはかれており、農協は、先進地視察などを行うことで、それを支援している。また販売面では、農協を軸に、消費者の銘柄選択に影響を及ぼせる小売店などが組織化されており、そのことも高級銘柄の確立・維持につながっている。
キーワード 肉用牛肥育、上質肉生産、高級銘柄産地、販売管理
背景・ねらい 牛肉の輸入自由化(1991年)を契機に、上質肉の生産に拍車がかかった一方、90年代中頃から不況の影響をうけて、その需要が低迷しており、産地間競争は激化する状況にある。新興の高級銘柄を代表する岩手前沢牛(農協共販組織)の分析から、高級銘柄牛肉産地における生産・販売管理の特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
1970年代前半、上質肉生産を指向した生産者の成功は、追随者を生み出し、前沢における高級銘柄産地化の起点になった。70年代後半以降、旧JA前沢町では、リーダー的生産者による先進地視察や、その報告会などを行うことにより、肉質指向の強い生産者を支援する一方、販売管理に活動の重点をおいてきた。
2.
肥育経験の乏しかった70年代に、上質肉生産に成功した要因は、その生産に適した素牛を地元の胆江地域から大量に調達できた点である。この時期に、上質肉生産に適した子牛が大量に生産されたのは、江刺市の和牛改良組織による種雄牛造成が増体ではなく、肉質を指向し、かつ成果をあげたことが大きい。現在でも素牛は、胆江地域産(92-96年:53.6%)さらに県内産(99.6%)が多い。
3.
上質肉生産では、上述した素牛の資質だけではなく、肥育技術も重要になる。前沢における肥育技術の上位平準化は、肉質指向の強いリーダー的生産者を中心に行われた。リーダー的生産者は、総じて高い技術をもっており、枝肉共進会で農林水産大臣賞を二度受賞した者を二名含む。この中には、銘柄産地化(東京市場への年間1,000頭以上の出荷および高い上物率)という目標をもち、新規参入者が失敗して肥育をやめないように配合飼料の内容や給餌方法を直接指導したり、兼業農家や少頭飼養者の依頼をうけて素牛購入を代行するリーダー的生産者もいた。こうした肉質指向が強い生産者主導による肥育技術の上位平準化は、表1のア・グループ(注1)の存在から確認できる。
4.
また、販売管理面では、高級銘柄の確立・維持を目的として、松阪牛を範に岩手前沢牛協会が設立されており、同協会によって、消費者の銘柄選択に影響を及ぼせる小売店や飲食店が会員化(販売指定店)されている(表2)。
5.
同協会では、販売指定店との連携を強化するために、会員証や販促用グッズなどを提供している。とくに、販売指定店が消費者に働きかける点から、高級牛肉としての強い銘柄イメージを提供することが肝要である。前沢の場合、全国規模の枝肉共進会で顕著な成績をあげており、そのことは販売指定店の拡大と販促活動を促す契機になった。協会設立時には20店にすぎなかった販売指定店が、9年後には上限の250店に達した。
成果の活用面・留意点 1.
高級銘柄牛肉産地化の推進に活用できる。
図表1 216765-1.gif
図表2 216765-2.gif
カテゴリ 出荷調整 肉牛

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