タイトル | 直接一面せん断試験機を用いた粘土質土壌の砕土性の評価法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 1999~2001 |
研究担当者 |
亀川健一 高橋智紀 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 直接一面せん断試験機を用い、せん断破壊時の土壌の間隙量の変化を測定することにより、高水分域の脆性が低い粘土質土壌の砕土性を評価できる。この方法によれば室内の一定条件において土壌の砕土特性が整理可能である。 |
キーワード | 砕土性、直接一面せん断試験機、限界状態理論、転換畑、粘土質土壌 |
背景・ねらい | 土壌の砕土性をトラクターによる耕うん試験以外の方法で評価する手法が確立されれば、砕土性の測定が容易になるとともに、耕うん機具の特性に依存せずに土壌独自の砕土特性を把握できる。このような目的で開発された従来の評価手法は、構造が発達し十分な脆性を持つ土壌を対象としており、粘土質転換畑のように構造が未発達で脆性が低い土壌には適用できない。 ここでは北陸地域に広く分布する粘土質転換畑で利用できる砕土性評価法を提案する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 一面せん断試験では、砕土性が高い土壌ほどせん断破壊時の試料の高さが大きくなる(間隙比が増加する)傾向があり(図1)、これは乾燥による圧密履歴を反映していると考えられる。この現象を利用して以下のように砕土性を評価する。 1)直径6cmの土質試験用のコアで10~15点の土壌をサンプリングする。次に小型テンションメータを試料に挿入できるように改造した一面せん断試験機を用いて、図2の手順に従い、せん断時の高さ変化と測定中の応力を求める。 2)限界状態理論によると、手順(1)~(3)により得られたデータを図3のようにプロットすることにより直線関係が得られる。これを、せん断時の高さ変化と圧密履歴との間の較正直線とする(図3)。 3)人為的な圧密を加えない圃場状態の土壌試料はこの直線からはずれるが、これは過去に圃場で受けた圧密履歴(図3のa)を考慮していないためであるそこで、縦軸方向における較正直線との距離(図3のb)を基準点からの土壌の高さ変化とし、これを砕土性の指標とする。 2. 上記の方法で推定された砕土性と実際の耕うん試験で得た砕土率との間には高い相関がある(図4)。過去に受けた最大の圧密履歴の推定(図3のa)等も可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 局所や広域な範囲の砕土性の測定、あるいは長期的または非常に短期間での砕土性の変化の測定等、従来行われてきたトラクターを用いた耕うん試験に比べ多様な条件に対応した測定が可能となる。 2. この手法は塑性限界以上の高水分域の粘土質土壌のように、耕うんする際に主としてせん断破壊が生じる土壌条件を仮定している。 3. ±0.1の信頼区間でb値を得る為には、信頼度95、90、80、60%に対してそれぞれ10、7、4、3個の土壌試料が必要である(較正直線の作成を含め、b値を得るには約1週間を要する)。 4. 上記結果は細粒質斑鉄型グライ低地土で得られたものである。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 乾燥 評価法 |