アスコルビン酸処理による紫サツマイモ蒸切干の色調改善

タイトル アスコルビン酸処理による紫サツマイモ蒸切干の色調改善
担当機関 (独)農業技術研究機構 作物研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 藏之内利和
田宮誠司
中谷 誠
発行年度 2002
要約 紫サツマイモの蒸切干加工において、アスコルビン酸水溶液に浸漬処理した後に蒸煮することにより、蒸切干の色調が明らかに改善される。アスコルビン酸水溶液の濃度は2g/l、浸漬処理の温度は75℃が好適である。
キーワード 紫サツマイモ、紫イモ、蒸切干、アスコルビン酸、色調
背景・ねらい サツマイモの蒸切干は茨城県を中心に作られており、重要な地域特産品である。しかし、近年は中国産蒸切干の輸入が増大し、その対策として、国産蒸切干の外観・品質の向上や新たな需要拡大が重要となっている。一方、健康機能性食品への関心の高まりに伴って紫サツマイモが近年普及してきたが、現在までそれを用いた蒸切干はほとんど作られていない。これは、蒸切干加工時の黒変が著しいことが原因と考えられ、その解決策が不可欠と考えられる。黒変の主因は、比較的多量に含まれるポリフェノール類の酸化であることが明らかとなっている。そこで、紫サツマイモの蒸切干加工時の黒変を抑え、色調の良い製品を作成するための手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 紫サツマイモの塊根を剥皮後に約1センチ厚に縦断し、でん粉糊化温度(一般は70℃台)近傍の温度で2時間程度、アスコルビン酸水溶液に浸漬処理し、この前処理を行った後で蒸煮処理を2時間程度行う。蒸煮した塊根を、冷温条件(気温約12℃、湿度約20%)において3日間程度乾燥させることにより紫サツマイモ蒸切干が作れる。
  2. 糊化温度近傍でのアスコルビン酸処理により蒸切干加工時の黒変が抑制され、アントシアニンの色調が鮮明となって、蒸切干の明度と赤色度がともに上昇し、外観が改善される(図1、図2)。処理温度は、75℃程度が最適である。サツマイモに含まれるβアミラーゼは、75℃を超えると急激に失活するため、この温度は澱粉の糖化(甘味の向上)についても好適な温度である。
  3. アスコルビン酸水溶液の濃度が高いほど色調改善効果は高いが(図3)、濃度が5g/lのように高すぎると蒸切干の硬度が高くなるとともに、わずかな酸味を呈して食味が低下する(表1)。したがって、濃度は2g/l程度(PH約4.8)が好適と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 「パープルスイートロード」等の紫サツマイモを用いた蒸切干加工に活用し、外観の良い蒸切干加工法として普及が期待される。
  2. 前処理におけるアスコルビン酸水溶液濃度および温度に注意すること。
  3. アスコルビン酸は食品添加物(酸化防止剤)である。
図表1 216810-1.gif
図表2 216810-2.gif
図表3 216810-3.gif
図表4 216810-4.gif
カテゴリ 加工 乾燥 需要拡大 機能性食品 良食味

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる
S