タイトル | 群落内日射2成分モデルは水稲群落に適用できる |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 1998~2001 |
研究担当者 |
横山宏太郎 小南靖弘 川方俊和 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 群落内日射2成分モデルは、水稲の生育に伴う日射反射率、透過率の推移を表現し、水稲群落に適用できることを明らかにした。また、水稲群落では葉面の傾きファクターは日射透過率の減衰係数で近似できる。 |
キーワード | 日射、透過率、反射率、水稲群落 |
背景・ねらい | 植物群落内に入射した日射は、葉などの植物体に吸収され減衰するが、より厳密には吸収と同時に一部は反射される。群落内日射の2成分モデルは、群落内の水平面の日射を下向き成分と上向き成分の2成分だけで表し、これらの日射の変化が葉による吸収と反射により起こるモデルであり、日射の透過と反射の両方を表現できることが優れている。しかしながら、水稲群落へ適用された例がみあたらない。そこで、移植期から成熟期までの水稲群落の日射透過率、反射率の観測データを用いて、群落内日射の2成分モデルが水稲群落に適用可能かどうかを検証した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 群落内日射の2成分モデルに、境界条件を与え、この方程式を解くと、式1に示した群落下の日射透過率の推定式(1)式、群落上の日射反射率の推定式(2)式が導かれる。さらに、2成分モデルの葉面の傾きファクターの推定式(3)式を導いた。 2. 日射の透過率、反射率の推定値は、水稲の生育に伴う透過率、反射率の推移をよく表現している(図1)。透過率、反射率の推定値と観測値とはよく適合し、残差の標準偏差(RMSE)はそれぞれ0.07、0.02であった(図2)。このことから、群落内日射の2成分モデルは水稲群落に適用可能である。土壌の反射率は移植前の値(r=0.07)、植被で完全に覆われた場合の反射率は十分茂った状態の値(r f =0.21)、2成分モデルの減衰係数は透過率、反射率、葉面積指数から求めた生育期間全体の平均値(λ=0. 32)を用いた。 3. 葉面の傾きファクターの推定式(3)式を水稲群落に適用することができる。右辺の括弧内第1項は日射透過率の減衰係数であり、括弧内第2項は零に近い値、括弧に掛かる係数は1に近い値になる。したがって、水稲群落では葉面の傾きファクターは日射透過率の減衰係数で近似できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 群落内日射2成分モデルは、群落下の日射の透過、群落上の日射の反射に加え、群落内の日射の透過と反射にも応用できるため、作物生産予測モデルに用いられる吸収日射量の推定精度の向上に利用できる。 2. 水稲群落の葉面の傾きファクターが日射透過率の減衰係数に近い値を示す本知見は群落の熱収支モデルの作成のために活用される。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 水稲 |