タイトル | 国内野菜産地のブランドパワー |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2002~2005 |
研究担当者 |
河野恵伸 合崎英男(農工研) 佐藤和憲(総研4チーム) 大浦裕二 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 選択型コンジョイント分析を用いて、野菜産地のブランドパワーを測定した。その結果、国内産地は海外産地の2倍程度のブランドパワーがあり、海外産地が減農薬・減化学肥料栽培を採用した場合には、国内産地のブランドパワーが3割程度低下する。 |
背景・ねらい | 近年、輸入農産物の急増により産地間競争が国際化し、国内の各産地は、マーケティング手法を導入した生産・販売体制の見直しを進めている。各産地が効率的にマーケティングを進めるためには、自産地の野菜が消費者にどの程度評価されているかを把握する必要がある。そこで、選択型コンジョイント分析を用いて、産地競合がみられる野菜4品目を対象に、各産地のブランドパワーを明らかにした。調査は、首都圏4都県在住の1,500人を対象とし、郵送法によるアンケート調査を採用した。回収数は369通、有効回答数は254であった。 |
成果の内容・特徴 | 1. 消費者ニーズが高い食品表示は、「農薬使用状況」「産地名」「栽培方法」等である。(図1) 2. 表1のような属性および水準を設定した結果、野菜4品目すべてにおいて、国内産地の評価が高く、海外産地の評価が低かった。また,消費者の居住地域から距離が近い産地は概ね評価が高い傾向が見られた。ただし、玉ねぎの産地である北海道など特別なイメージが定着している産地は距離が遠くても評価が高い傾向が見られた。(表2) 3. 「栽培方法」の条件を全て「表示なし」とし、各産地のブランドパワーのシミュレーションを行った。その結果、海外産野菜を100円とし、他の条件がほぼ同じ場合に、国内産地は海外産地の1.8~2.1倍程度のブランドパワーがあることが確認された。(表3) 4. 海外産地が減農薬・減化学肥料栽培を採用した場合には、国内産地のブランドパワーが3割程度低下することが明らかになった。(表4) 5. 以上から、国内産地は、海外産地に比べてほぼ2倍程度のブランドパワーを有しているが、海外産地が減農薬・減化学肥料栽培を採用した場合には、ブランドパワーの差が3割程度縮まることから、各産地はこれらの状況を認識した上でマーケティング戦略を構築していく必要がある。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本稿で用いた方法は、消費者からみた現状の自産地の相対的なポジショニングおよび産地格差を確認する手段として有効であると考えられる。 2. このシミュレーションの価格の見方は、国内産と海外産の選択(購入確率)が等しくなる価格水準である。 3. コンジョイント分析の産地を選定する場合には、対象とする消費者の居住地域の卸売市場や小売店などの産地別の入荷量を考慮する必要がある。 4. コンジョイント分析の価格の水準数および範囲を決める場合には、小売物価統計、小売店価格調査、プレテストを行い、十分に検討する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
カテゴリ | 肥料 病害虫 農薬 |