水稲ロングマット水耕育苗における種子温湯浸漬の有効性

タイトル 水稲ロングマット水耕育苗における種子温湯浸漬の有効性
担当機関 埼玉県農総研
研究期間 1998~2002
研究担当者 久保田篤男
植竹恒夫
矢ヶ崎健治
発行年度 2002
要約 水稲ロングマット水耕育苗において種子温湯浸漬(60℃15分)による種子消毒は、根に対する伸張阻害がなく、イネシンガレセンチュウおよびイネもみ枯細菌病に対する防除効果も高いことから、本育苗法に有効な種子消毒法である。
キーワード ロングマット、種子消毒、温湯浸漬
背景・ねらい 水稲ロングマット水耕苗移植栽培では循環溶液で育苗を行うため、種子伝染性病害虫に汚染された種子が混入すると育苗中に病害虫の蔓延が考えられることから、種子消毒技術の確立が不可欠である。本育苗法に対して登録のある種子消毒剤はなく、市販種子消毒剤の中には水耕苗の根の伸張を抑制する薬剤もある。また、種子温湯浸漬による種子消毒は環境に優しい農業技術であり、箱育苗においては種子伝染性病害に有効であることが確認されている。そこで、本育苗法に対する種子温湯浸漬の有効性を検討する。
成果の内容・特徴 1.
温湯浸漬(60℃10~15分)による種子消毒は、水耕育苗において根の伸張が良く、苗の生育も良い(図1)。
2.
温湯浸漬(60℃10~15分)により種子消毒を行った種子の水耕育苗では、イネシンガレセンチュウによるほ場での発病株率、発病茎率および黒点米混入率に対し、高い防除効果が認められる(表1)。
3.
温湯浸漬(60℃15分)による種子消毒は、イネもみ枯細菌病による苗腐敗の発生を抑え、水耕後の菌密度も低くなる(表2)。また、ほ場での発病株率、発病穂率も低い(表3)。
4.
温湯浸漬は水稲ロングマット水耕育苗に有効な種子消毒法である。なお、イネもみ枯細菌病による苗腐敗を考慮すると60℃で15分間処理することが望ましい。
成果の活用面・留意点 1.
箱育苗ではイネばか苗病、イネいもち病にも効果はあるが、本育苗法では確認していない。
2.
前年及び前々年産種子に対する発芽への影響はないが、保存年限の長い種子、保存状態の悪い種子では発芽率が低下することがある。
図表1 216894-1.gif
図表2 216894-2.gif
図表3 216894-3.gif
図表4 216894-4.gif
カテゴリ 病害虫 育苗 いもち病 害虫 種子消毒 水稲 防除 もみ枯細菌病 薬剤

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