タイトル | イチゴの花芽分化時期推定方法と実生の出蕾日による早晩性の簡易評価 |
---|---|
担当機関 | 三重科技 |
研究期間 | 1999~2002 |
研究担当者 |
森 利樹 北村八祥 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 花芽分化開始期前後に定期的間隔をおいて複数の株を定植し、出蕾遅延株がみられなくなる定植日を、当該品種の花芽分化開始日とみなすことができる。また、実生の出蕾日は早晩性の簡易な評価基準として用いることができる。 |
背景・ねらい | 促成栽培における従来のイチゴの早晩性評価法には、1)生長点を顕微鏡観察して花芽分化開始時期を判定する方法、2)出蕾期、開花開始時期や収穫開始時期によって評価する方法がある。前者は、品種の早晩性を正確に評価できるが、観察に習熟を要し手間がかかる。後者は、実用的な利用価値が高いが環境条件の影響が大きい。これらに代わる簡易で正確な評価方法を確立する。また、実生の出蕾日について早晩性評価基準としての実用性を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 促成栽培において花芽誘導が不十分な株を定植すると、誘導されていた株に比べて出蕾時期が遅れることが知られている。このような出蕾遅延株は、花芽分化開始期前後に定期的に4日間程度の間隔をおいて複数の株を定植した場合、定植が遅いほど少なくなる。「章姫」では9月10日,「女峰」と「とちおとめ」では9月14日,「サンチーゴ」では9月18日の定植で出蕾遅延株がみられなくなり,この定植日を各品種において全株が花芽分化開始した日とみなすことができる(図1)。 2. イチゴの交配実生を株ごとに栄養繁殖した各系統において、それぞれ定期的に数株ずつ定植し、出蕾遅延株がみられなくなる定植日を当該系統の花芽分化開始日として推定すると、その分布は単峰型を示す。このことから、イチゴの早晩性は連続的な変異であり、主働遺伝子は関与していないと推測できる(図2)。 3. 通常、5月ころまでに播種した実生は、9月に定植して慣行促成栽培に準じて栽培することができる。この様な栽培で観察される出蕾日は、栄養繁殖した後に定期的に定植した株の出蕾状況から推定した花芽分化開始日と相関がみられる(図3)。このことから、実生の出蕾日を簡易な早晩性評価指標として用いることができる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 定期的に定植した株の出蕾状況から花芽分化開始日を推定する方法は、生長点の顕微鏡観察による方法に比べ、リアルタイムで評価できない欠点を持つが、評価者による誤差がなく確実な評価が可能である。 2. 実生の出蕾日は、栽培管理条件による大きな誤差を含むため厳密な評価としては適切でないが、慣行の育種過程の中で簡易に得ることができる早晩性評価基準として用いることができる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 育種 いちご 栽培技術 播種 繁殖性改善 評価基準 評価法 品種 |