タイトル | 短日処理を利用した水稲高温耐性の検定法と基準品種選定 |
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担当機関 | 三重科技 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
山川智大 神田幸英 村上高敏 宮本啓一 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 水稲の玄米品質に関する高温耐性を評価するための基準品種を選定した。世代促進温室を利用した簡易検定法において、短日処理を行うことで精度良い高温耐性の検定が可能である。またその結果は圃場での結果ともほぼ一致する。 |
キーワード | 水稲、高温耐性、基準品種、世代促進温室、短日処理 |
背景・ねらい | 高温耐性に優れる品種育成のため「高温耐性の簡易検定法」が提案されている。しかし、この手法はコシヒカリと同熟期の品種の検定が難しいことから、本県でこの手法を適用するには改良の余地がある。そこで短日処理を行い登熟条件を揃えることにより、既存の検定法の改良を図るとともに、新たに基準品種を選定する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 適温登熟条件下と高温登熟条件下での整粒歩合の比較から、高温耐性の基準品種として「山形70号」、「ふさおとめ」を強品種、「ひとめぼれ」、「みえのえみ」をやや強品種、「アキヒカリ」、「コシヒカリ」を中品種、「初星」、「ふ系186号」を弱品種と選定できる(図1) 2. 世代促進温室で登熟させた基準品種の整粒歩合の多少は、自然光型人工気象室での試験結果と同様となることから、世代促進温室を用いた高温耐性の検定は精度が高いと考えられる(図2)。 3. 短日処理で出穂期を揃えることによって、極早生から早生の品種系統を同一の温度条件で登熟させることができる(図2、3)。 4. 圃場で栽培した基準品種の整粒歩合は、自然光型人工気象室、世代促進温室での試験に比べ、品種間の差は小さくなるが、高温耐性の品種順位に大きな違いはみられない(図3)。 5. 中央4枝梗上の着生粒の整粒歩合は、1穂の全着生粒の整粒歩合とよく一致することから、この部位の着生粒を抽出調査することで高温耐性の品種間差を比較することができる(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. この手法では6月中旬から7月中旬にかけて登熟期を迎えるが、登熟時期が盛夏にあたる場合(昼間の温室平均気温が34℃以上となる場合)には高温耐性の品種間差が小さくなる可能性がある。 2. 高温処理のみで高温耐性の判定は可能であるが、品種本来の特性として玄米品質が劣る品種があるので、注意が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 簡易検定法 高温耐性 水稲 品種 |