タイトル | 毛細管現象を利用した培養液循環型イチゴの高設式養液栽培システム |
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担当機関 | 神奈川農総研 |
研究期間 | 2000~2001 |
研究担当者 |
衣巻 巧 小林秀夫(三秀工業(株)) 深山陽子 土屋恭一 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 開発したイチゴの養液栽培装置は、保水シート、不織布による毛細管現象を利用した培養液循環型高設式の栽培システムである。安定した生産が可能であり、10a当たり432万円で設置でき、年間635千円の減価償却費で導入できる。 |
キーワード | イチゴ、高設式養液栽培、培養液循環型、毛細管現象 |
背景・ねらい | イチゴの栽培は、かがみ作業が多いため、ベンチで栽培し,立ち作業で楽に栽培管理・収穫のできる高設栽培が望まれ、それぞれの産地では,地域に適した養液栽培システムの普及が始まっているが、本県での導入事例は少ない。そこで、日本施設園芸協会、民間事業所と共同して、低コスト製作が可能で、環境にやさしい培養液循環型高設式養液栽培システムを開発し実用性を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 底部に2か所の給液溝をもつ発泡スチロール製の栽培槽を用い、毛細管現象を促す保水シートの2端を給液溝にたらす。その上に培地を不織布に包んで充てんする。培地へ給液は、常時、毛細管現象により給液されるため給液管は不要である(図1)。 2. 培養液の給液は,栽培槽の一端に補給し、他端から排水して循環使用する。培地内の加温は,給液時に培養液を加温して対応する(図1)。 3. 所内試験で給液方式,培地,培養液管理方法を検討したところ、培地により保水性は異なるが、安定した給液ができ、培養液は循環利用ができる。培地の選択肢は、広く、もみ殻は2年連用で保水性が増し生産が安定してくる(表1)。 4. 現地実証試験の販売果収量は、供試培地にかかわらず11月~3月末で株当たり600gを超え、順調な生育を示した。栽培終了時の収量は、1.1 kg,10a換算で7.6トンの水準に達する(表2)。 5. 開発した栽培システムの設置費用は、試算で10a当たり4325千円、この時の1年間の減価償却費は635千円である(表3)。本県におけるこれまでのイチゴ高設栽培装置の導入価格は、S式で10a当たり8000千円程度であり、低コスト化が図れ、生産の合理化に寄与できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本栽培方式は、トマト栽培にも適用できる。 2. 収量は養液栽培に向いている章姫のデータである。 3. 施設の設置費用は、試算値であり、設置条件により異なる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | いちご 栽培技術 施設園芸 低コスト トマト 養液栽培 |