タイトル | キャベツ選択式収穫機・自動追従運搬車による作業性の向上 |
---|---|
担当機関 | 千葉農総研 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
草川知行 米山裕(神奈川県農総研) |
発行年度 | 2003 |
要約 | 選択式収穫機による春キャベツの収穫では、慣行の手収穫に比べて、前傾姿勢が少なくなることにより作業負担が軽くなる。自動追従運搬車との協調作業では、作業時間が慣行作業の63%に短縮される。 |
キーワード | 春キャベツ、選択式収穫機、作業姿勢、心拍数、作業能率 |
背景・ねらい | 春キャベツは、千葉、神奈川を中心に栽培されているが、収穫期に結球がばらつくために収穫が手作業による選択収穫となっている。選択収穫では1圃場を数回に分けて収穫するため、省力機械化が困難であった。そこで、中央農業総合研究センターでは、選択収穫を可能とする2人組み作業の選択式収穫機及びこれに追従する自動追従運搬車(RAC)を開発した。ここでは、この開発機による収穫作業者の作業負担の軽減効果及び作業能率を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 選択式収穫機は、前部で包丁を持った収穫作業者が主に座位で収穫適期のキャベツを選択して収穫する(写真1)。収穫したキャベツは収穫機のプラットホーム上の調製作業者によって調製され、箱詰めされる。選択式収穫機作業中の心拍数は、手収穫と比較すると常に低く、選択式収穫機によって作業負担は軽減される(表1)。 2. 選択式収穫機による収穫作業の姿勢は主に座位となり、箱詰め作業では立位となる。両作業とも、手収穫作業で多く認められる立位で体を深く曲げる姿勢が少なく、楽な姿勢に改善される(表1)。 3. RACは、選択式収穫機に追従して箱詰めされたキャベツの運搬を行い、積載量増加によって搬出作業回数を削減できる。また、選択式収穫機と切り離して搬出作業ができ、ラジコンによる遠隔操作が可能で、作業時間の短縮が図れる。1往復で搬出作業を行い、往路にRACを追従させる体系で、選択式収穫機とRACによる収穫から箱詰め・搬出までの2人作業による10a当たりの作業時間は、2回の選択収穫で1回目(収穫株率59%)10.1時間、2回目(収穫株率33%)4.3時間 、計14.4時間である(表2)。これは、手収穫、1輪車搬出の慣行標準の延べ46時間(1人作業)に対して、63%となる。RACを追従させた場合、収穫した段ボールをRACに移動させる作業時間は、RAC追従全作業時間の7%に相当する。しかし、プラットホーム上の足場を広く確保することができ、足場が狭いときに認められる体をひねる姿勢が改善される。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 収穫可能株率が低いと収穫の待機時間が長くなるため、選択式収穫機の作業能率が落ちる。一方、調製作業者は、キャベツの調製、仕分け、箱詰め作業を行うため、収穫作業者の収穫速度が上がると作業が間に合わなくなる。このため、収穫作業者と調製作業者間の連携をとることが必要である。 2. RACは、1往復行程で選択式収穫機に積載可能な35ケース以上の収穫がある圃場での利用を前提としている。 3. 圃場の大きさ、収穫量に応じて、最適な搬出方法やRACラジコン操作の効果的な利用方法は異なると考えられる。選択式収穫機とRACの協調作業については、さらに検討が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 遠隔操作 機械化 キャベツ 収穫機 ばら |