タイトル | 出荷前の残留農薬チェックに使える高精度イムノアッセイ法 |
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担当機関 | 埼玉農総研 |
研究期間 | 2002~2003 |
研究担当者 |
鎌田淳 小林由実 成田伊都美 |
発行年度 | 2003 |
要約 | イムノアッセイ法による残留農薬簡易分析法は、従来の機器分析法に比べて操作は簡便で、短時間かつ低コスト化が図れるため、農作物の出荷前安全性チェックに適用できる。また、簡易な前処理法を併用することによって、農作物由来の物質による分析への影響を回避できる。 |
キーワード | 野菜、イムノアッセイ、残留農薬 |
背景・ねらい | 近年、農作物の安全・安心に関心が高まっていることから、生産現場でも農薬の残留性を迅速かつ簡易に確認できる測定技術の開発が求められており、イムノアッセイ法に注目した。生産現場への導入にあたって、簡便な操作で分析精度の高いイムノアッセイ法を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 数種の作物と市販キットを用い、標準操作での分析精度を確認した。ホウレンソウ、ネギ、ニンジンなどで機器分析と同程度の回収率70~120%を得られず、マトリックスの影響が強く現れる作物がある(表1)。 2. ネギの精度低下要因と考えられるマトリックスとして、主な成分である硫化物で検討すると、硫化ジアリルが測定感度を低下させる(表2)。 3. ホウレンソウのマトリックスによる分析精度低下は、抽出に使用するメタノール濃度を変えることやグラファイトカーボン粉末(以下GFC ENVI-CARB SPELCO社製)のバッチ処理で回避できる。また、サンプルスケールを小さくすると回避できる場合もある(表1、3)。ネギはGFC処理では影響回避効果は無いが、銅粉末及び銅線のバッチ処理が有効である(表2、3)。 4. 農薬の抽出効率は、ダイアジノン(ミズナ)、プロシミドン(ネギ)の場合、溶媒組成で変動するが、イミダクロプリド(ネギ)では大きな差はみられない。抽出率への影響を考慮するとイムノアッセイ法ではメタノール抽出が一般的であると推定される(表4)。 5. 生産現場で実施できるように、イムノアッセイ分析操作フローチャートは図1のように設定できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本分析法は簡便かつ短時間で精度の高い結果が得られるため生産現場における農作物の残留農薬チェックに活用できる。 2. 作物によって試料由来の共存物質による妨害がある場合があるので、あらかじめ対象作物と市販キットとの適合性を十分に考慮する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 病害虫 出荷調整 測定技術 低コスト にんじん ねぎ 農薬 ほうれんそう みずな |