水稲の密播稚苗育苗による育苗コストの低減

タイトル 水稲の密播稚苗育苗による育苗コストの低減
担当機関 茨城農総セ農研
研究期間 1998~2002
研究担当者 狩野幹夫
田中研一
発行年度 2003
要約 ウニコナゾールP液剤を催芽前24時間浸漬処理した種子は、箱当たり乾籾播種量で240gの密播稚苗育苗ができる。移植は田植機の苗掻き取り調整により、慣行と同じ株当たり4~5本で行え、苗箱使用量は慣行育苗に比べて2/3に低減できる。
キーワード 水稲,ウニコナゾールP液剤,種子浸漬処理,密播育苗,苗箱数低減
背景・ねらい 最近の米価低迷、農家の高齢化や規模拡大により、省力・低コストな稲作技術の開発が強く求められている。そこで、ウニコナゾールP液剤を利用した密播育苗技術を開発し、育苗資材費の低減及び播種・育苗・移植作業の軽労化を図る。
成果の内容・特徴 1.
ウニコナゾールP液剤を浸漬処理した種子による乾籾播種量240g/箱の密播稚苗(以下、密播苗)は、乾籾播種量160g/箱の慣行苗と比べて草丈が短く、同じ育苗期間でも葉齢の展開はほぼ同じである。育苗箱当たりの窒素施肥量は、慣行の1.5g/箱より2g/箱で葉の黄化が少なく良苗が得られる(表1、データ省略)。
2.
密播苗の移植後の初期生育は、移植後の葉齢増加速度、根長、地下部の乾物重からみて、乾籾播種量160g/箱の慣行苗と同程度である(表2)。
3.
密播苗は田植機の苗掻き取りを調整することで、株当たり4~5本移植が可能である。欠株率は350倍処理苗で高まるが、450倍処理苗では問題なく移植できる。これは処理濃度が高いと薬剤の効果により根部が発達し、苗の掻き取りに問題が生じるためである。10a当たりの苗箱数は慣行苗の2/3に減少する(表3)。
4.
密播苗移植の収量は慣行苗移植と同程度である(表3)。
5.
密播育苗の育苗資材コストは、慣行育苗と比較して山土使用の場合、10a当たり約800円、粒状培土使用の場合では10a当たり約600円削減できる。また、作業時間は10a当たり0.9時間短くなり、労働費は10a当たり1350円低減できる(表4、表5)。
成果の活用面・留意点 1.
3月下旬~4月中旬播種、4月下旬~5月上旬移植、品種は「あきたこまち」、「コシヒカリ」を用いた結果である。
2.
薬剤処理は催芽24時間前から水温10~15℃で行う。
3.
種子消毒、苗立枯病の防除は必ず行い、慣行育苗と同様に温度管理には注意する。
4.
平置き出芽は出芽時に籾の持ち上がりが懸念されるので行わない。
図表1 217441-1.gif
図表2 217441-2.gif
図表3 217441-3.gif
図表4 217441-4.gif
図表5 217441-5.gif
カテゴリ 病害虫 育苗 温度管理 規模拡大 軽労化 コスト 種子消毒 水稲 施肥 立枯病 低コスト 播種 品種 防除 薬剤

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