タイトル | 国内主要ダイズ品種の子実中へのカドミウム蓄積濃度の差異 |
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担当機関 | 豆類栽培生理研究室 |
研究期間 | 2003~2007 |
研究担当者 |
阿江教治(農環研) 羽鹿牧太 高橋幹 高橋浩司 杉山恵(農環研) |
発行年度 | 2003 |
要約 | 国内主要品種・系統は子実中へのカドミウム蓄積濃度から、低蓄積グループ、中~高蓄積グループに分類される。中~高蓄積グループは育成の系譜から遺伝的に近縁な3つのグループに分けられる。 |
キーワード | ダイズ、カドミウム、品種間差異、重金属 |
背景・ねらい | Codex委員会で提案されているカドミウム含量の許容基準値原案は、ダイズでは0.2mg/kgであるが、2002年12月に公表された農林水産省の調査結果では国産ダイズの16%が提案基準値を超えていた。一方ダイズ子実中へのカドミウム蓄積濃度には品種間差異があることが報告され、カドミウム蓄積濃度の低い品種の作付けが国産ダイズのカドミウム対策の一つの柱と考えられるようになっている。 そこで国内のダイズ主要品種・系統の子実中のカドミウム蓄積濃度の品種間差異を明らかにし、緊急にカドミウムリスクを回避できる技術開発のための基礎的知見を得ることを目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 非汚染圃場及び汚染土を詰めたポット(冬期、夏期)で国内のダイズ主要品種・系統を栽培して、子実中へのカドミウム蓄積濃度の品種間差異を明らかにした(図1)。 2. カドミウム蓄積濃度の高い品種では、非汚染圃場でも子実中への蓄積濃度が許容基準値原案の0.2mg/kgを越える可能性がある(図1)。 3. カドミウム蓄積濃度が中庸で代表的な5品種の平均カドミウム蓄積濃度に対する相対比の分布から、国内主要品種・系統はフクユタカなどの低蓄積グループ、スズユタカなどの中~高蓄積グループに分けることができる(図2)。各グループ内での品種間差異は試験毎の変異が大きく、グループ内での差は明確ではない。 4. 中~高蓄積グループは育成系譜から遺伝的に近縁な3つのグループに分けることができる(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本試験の結果は作物研究所で実施したものであり、より正確な品種間差異は地域ごとに再検討する必要がある。 2. 本試験の結果は、低カドミウム蓄積品種育成のための交配母本選定の基礎的知見として活用できる。 3. カドミウム濃度の高い土壌では低蓄積品種でもダイズ子実中へのカドミウム蓄積濃度が高くなる傾向があるので、必要に応じ土壌改良材投入など他の対策を併用する。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 大豆 土壌改良 品種 |