稲発酵粗飼料向き早生水稲新品種候補系統「北陸187号」

タイトル 稲発酵粗飼料向き早生水稲新品種候補系統「北陸187号」
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 1990~2005
研究担当者 三浦清之
笹原英樹
後藤明俊
重宗明子
上原泰樹
小林 陽
太田久稔
清水博之
福井清美
小牧有三
大槻 寛
発行年度 2003
要約 「北陸187号」は寒冷地南部では早生の晩に属する粳種で、中稈、穂重型の稲発酵粗飼料向き系統である。中生の主力品種の刈り取り前に稲発酵粗飼料用として収穫が可能で、耐倒伏性が強く、湛水直播栽培に適する。大粒であるところから、一般品種との識別性がある。
キーワード イネ、飼料イネ、粗飼料、サイレージ
背景・ねらい 食料自給率の向上を目的とした国内での飼料自給率の向上、および米の生産調整の円滑化、さらに、貯水力等水田の機能維持を一挙に図る目的で、稲を発酵粗飼料として利用する飼料イネの生産が進められつつある。そのため、低コスト生産が可能な湛水直播栽培に適し、「コシヒカリ」等中生の主力品種の刈り取り前に収穫できる早生品種が求められている。そこで、寒冷地南部地帯に適した耐倒伏性が強く、湛水直播栽培に適する稲発酵粗飼料向き早生品種を育成し、自給飼料生産の拡大と水田の効率的利用を図る。
成果の内容・特徴 1.
「北陸187号」は、1990年中央農業総合研究センター・北陸研究センター(旧北陸農業試験場)において超多収品種の育成を目的として、日印交雑種の「上321」と「奥羽331号」(後の「ふくひびき」)を交配した後代から育成された系統である。
2.
出穂期は「ふくひびき」よりやや遅く、黄熟期は「ふくひびき」並の、育成地では中生の「クサユタカ」より早い“早生の晩”に属する。
3.
稈長は、「ふくひびき」より長い“中”、穂長は「ふくひびき」よりやや長い“やや長”、穂数は少なく、草型は“穂重型”で、脱粒性は“難”である。
4.
湛水直播栽培における苗立ち率は「クサユタカ」に優り、耐倒伏性は「ふくひびき」より強い“極強”であるため、湛水直播栽培に適する。
5.
黄熟期乾物重は「ふくひびき」より重く、湛水直播栽培では、中生の「クサユタカ」より重い。
6.
いもち病真性抵抗性遺伝子はPita-2とPibを併せ持つと推定され、葉いもち・穂いもち圃場抵抗性は不明である。穂発芽性は“中”、障害型耐冷性は“やや弱”である。
7.
可消化養分総量(TDN)はチモシー(1番草・開花期)等に近く、飼料として利用可能であり、稲発酵粗飼料とした時の牛の嗜好性も問題がない。
成果の活用面・留意点 1.
適応地域は「ふくひびき」等の熟期の作付が可能で、冷害の危険性の少ない東北中南部、北陸および関東以西である。
2.
玄米は大粒であることから、主食用品種との識別性があり、稲発酵粗飼料として乳用牛に牧草乾草に置き換えて給与した場合、嗜好性に問題がなく、粗飼料としての利用が可能である。
3.
穂数が少ないので、分けつ数を確保するために、一般食用品種よりも増肥する必要がある。しかし、極端な多肥栽培では倒伏する可能性もあるため、地力に合わせた施肥を行う。
4.
Pita-2とPibのいもち病真性抵抗性遺伝子を持つため、現在のところ、いもち病の発病は認められないが、いもち病菌の新レースの出現による発病の可能性があるため、発病が認められた場合、稲発酵粗飼料生産・給与技術マニュアルに従って、直ちに防除を行う。
図表1 217524-1.gif
カテゴリ 病害虫 いもち病 直播栽培 飼料用作物 新品種 水田 水稲 施肥 抵抗性 抵抗性遺伝子 低コスト 凍害 品種 防除

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