タイトル | 田植機利用水稲直播のための回転催芽方式による種子シート作製技術 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
玉城勝彦 長崎裕司 金井源太 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 田植機の掻き取りピッチに合わせて列状に溝切りしたポリウレタンシートに種子を落として巻き取った種子シートを32℃の育苗器内で30rpmで回転させながら2日間催芽することにより糊付けすることなく種籾を固定でき、田植機を利用した水稲湛水直播が可能となる。 |
キーワード | 田植機、湛水直播、種子シート、回転、催芽 |
背景・ねらい | 水田作経営へのスムーズな直播技術導入が可能と考えられる田植機を利用した水稲湛水直播を実用技術へ高めるためには、作業能率と発芽定着の向上が必要であり、田植機の掻き取り機構で高速・安定的に播種できる種子シートを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 種子シートの基材には、厚さ12mm×幅280mm×長さ1150mmの発泡ポリウレタンシートを用い、田植機横方向掻き取りピッチ(18回取り)に一致させてディスクグラインダの砥石を配置した溝切り装置により列状の溝(幅6mm、深さ4mm)を切り(図1-A)、圃場面積から算出した必要基材枚数を縦方向に接着して連続したシート基材としてロール状に巻いておく(図1-B)。播種量10a当たり3kgの場合、基材1枚当たりの負担面積は0.67aであり、6条田植機の場合、30a水田では、7.5枚連結シートを6本準備する。 2. 2基のベルトコンベヤ上に基材供給部、播種部、散水部、巻取り部を配置した種子シート作製装置により、ロール状にした基材を自動的に解きながら、種籾を溝に落下させ(基材1枚当たり乾籾200g)、種籾と基材全面に散水(基材1枚当たり30cc)して、再び巻き取る(図1-C)。巻取り部は、シートの先頭部を人力で巻き込むのみで自動的に巻き取っていく。種籾は種子消毒を行い、十分な浸漬後、鳩胸程度まで催芽しておく。巻き取ったシートはひもかけして、装置から外し、端面に霧吹きを施し、保湿のため外周面をラップ、さらに寒冷紗のカバーをかぶせる(図1-D)。7枚を連結した連続シートでは、1人作業で、1個当たり7分20秒で作製可能である。 3. 種籾を巻き込んだ種子シートを回転催芽装置にセットする。水稲育苗器を加湿加温器として利用した回転催芽装置は、最大直径45cmの種子シートを6個まで、回転数30rpmで回転させながら催芽させることができる(図1-E)。32℃で2日間回転催芽することにより、種籾は遠心力方向に8~10mm程度、根を伸張させて、糊付けすることなく基材に固定され、田植機を利用した直播に供試することができる(図1-F)。 4. この種子シートでは、播種時に芽・根の伸張が進んでいるため、従来の酸素発生剤粉衣籾より2日程度早い苗立ちが期待でき、除草剤散布時期を早めることができる(図2)。 5. 植付爪等を変更し、種子シートホルダ等を追加した田植機(2002年度共通基盤・作業技術部会成果情報を参照のこと)を用いることで、最高速度1.15m/sまで播種作業が可能で、欠株の少ない苗立ちを確保できる(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 部品等の変更・追加した田植機により高速の湛水直播作業を行うことができる。 2. 種子シートの巻き終わりの部分では、種籾がこぼれ落ちないように注意してひもかけ、ラップを行う必要がある。 3. 基材を接着して連続したシート基材を作製する機構、並びに、大量の種子シートを催芽させるための大量処理用の回転催芽機構は別途必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 育苗 経営管理 種子消毒 除草剤 水田 水稲 播種 |