タイトル | 茶抽出物を用いた乳汁中の免疫細胞の増加 |
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担当機関 | 東京畜試 |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
熊井良子 坂田雅史 森本直樹 大久保光行 片岡辰一朗 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 茶抽出物で遊走される免疫細胞の効果により乳房炎症状の改善が可能である。茶抽出物を乳房炎罹患乳房に注入すると体細胞の増加、細菌数の減少を経て症状が軽減する。 |
キーワード | カテキン、茶、抗生物質利用削減、乳房炎、乳用牛 |
背景・ねらい | 茶抽出物のポリフェノールであるカテキン類は抗菌性、抗ウィルス性)、抗酸化性、抗ガン性など様々な作用が報告されている。カテキン類はその機能性に着目されて現在健康飲料等の食品分野はもちろん医療分野においても様々な応用が試みられている。一方、乳房炎はその治療に主として抗生物質が利用されているが、抗生物質の頻繁な使用は耐性菌の発生の理由で見直される傾向にある。そこで、茶葉より抽出したカテキン製剤を乳房炎へ適用しその影響を調査する。これにより抗生物質の利用を削減できる乳房炎治療法の検討を行う。 |
成果の内容・特徴 | 1. 今回の実験で用いた製剤は、三井農林株式会社より提供された茶葉抽出製剤であるポリフェノンGを用いた。乳房内への注入は500mlの5%ブドウ糖液または生理食塩水に溶解し、静脈注射用カテーテルを用いて乳頭口より注入した。注入濃度は677μg/mlの濃度とした。 2. 図1に1日2回搾乳の3歳のホルスタイン牛(分娩後10ヶ月)の軽度な乳房炎(亜急性乳房炎)の分房にポリフェノンG 677μg/mlを500ml注入した場合の牛乳中体細胞数(SCC)の推移を示した。1回目の注入後乳房は硬く腫脹し、体細胞数は増加したが、2回目以降4回目まで毎搾乳後注入を繰り返すと乳房は柔らかくなりSCCは減少する。 3. 延べ6頭、8例の乳房炎分房にポリフェノンG 677μg/mlの注入実験を実施したが、すべての例で同様の傾向となった。この場合の注入前後の細菌数の変化を図2に示した。1例を除いて細菌数は減少する。 4. 大腸菌(E. Coli)と牛乳中体細胞を培養し、トリパンブルーで死細胞を染色することにより体細胞の生存率を求めた(図3)。この結果、カテキン製剤とともに培養した場合体細胞の生存率が高まる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 茶抽出物を用いることにより、抗生物質を使用しない乳房炎対策の参考になる。このことにより、食品の安全性の向上にも寄与できる。 2. 菌種によっては、効果の見られない場合もある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 機能性 耐性菌 茶 治療法 |