タイトル | 胚乳アミロース含量が増大するイネ変異体「SP14」 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所 |
研究期間 | 2001~2004 |
研究担当者 |
伊勢一男(国際農研セ) 佐藤宏之 佐野芳雄(北海道大) 松倉潮 青木法明 平野博之(東京大) 鈴木保宏 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 低アミロース米品種「スノーパール」の変異体から選抜した「SP14」は、アミロース含量が原品種より5%程度高い。SP14はアミロース含量が高まる新規の変異体で、その特性は二つの劣性遺伝子に支配されていると推定される。 |
キーワード | イネ、アミロース含量増大、突然変異、スノーパール、SP14 |
背景・ねらい | 消費ニーズの多様化に対応して、新しい胚乳形質を備えたコメの開発が望まれている。コメのアミロース含量は食味や加工適性に最も影響を与えるが、これまでアミロース含量に関しては低下させる遺伝資源が知られているだけである。そこで、原品種よりもアミロース含量が高まる変異体を選抜し、その特性を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. アミロース含量が高まる突然変異体「SP14」は、スノーパールの種子に突然変異原・アジ化ナトリウム処理を行い、7,200M1株より選抜したものである。 2. SP14のアミロース含量は、スノーパールやコシヒカリと同様に登熟温度に応答して増減する。20℃と26℃で登熟させたSP14のアミロース含量は、原品種のスノーパールよりも5%程度高い(表1)。 3. SP14のWx遺伝子およびその上流域1,500bpの塩基配列はwx座に変異のあるスノーパールと同じであり、第3エクソンにコシヒカリと一塩基の相違がある。従って、SP14においてアミロース含量が高まった原因は、Wx遺伝子ないしはその上流域に変異が生じたためではない。 4. 見かけのアミロース含量が高まる高アミロース(ae)変異体では、アミロペクチンの鎖長構造に変化が生じているが、SP14のアミロペクチンの鎖長構造にスノーパールとの相違は認められない(図1)。また、SP14の胚乳はae変異体のような粉質でもない。従って、SP14におけるアミロース含量が高まった原因は、ae変異体のようにアミロペクチンの鎖長構造が変化したためではない。 5. 26℃で登熟した時のアミロース含量はスノーパールが約5%、SP14は10~11%であった(図2)。同条件で登熟したF2種子(図2A: SP14/スノーパール、図2B: スノーパール/SP14)では、スノーパール程度のアミロース含量の種子とSP14程度のアミロース含量の種子が、15:1に分離する(表2)。従って、SP14の有するアミロース含量を高める特性は二つの劣性遺伝子が関与しており、SP14の遺伝子型は二重劣性型と推定される。 |
成果の活用面・留意点 | 1. アミロース含量を制御する機構解明のための素材となる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 遺伝資源 加工適性 品種 良食味 |