タイトル | γ-アミノ酪酸(GABA)が多い発芽玄米用糖質米新品種候補「北陸169号」 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 1989~2005 |
研究担当者 |
三浦清之 笹原英樹 後藤明俊 重宗明子 上原泰樹 小林 陽 太田久稔 清水博之 福井清美 小牧有三 大槻 寛 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 「北陸169号」は寒冷地南部では中生の中に属する粳種で、短稈、偏穂重型の糖質米系統である。重量当たりのGABA含量が一般品種の3倍前後で、水溶性多糖(植物グリコーゲン)を乾物重当たり30%蓄積することから、発芽玄米および発芽玄米を添加したおにぎり、おはぎ等機能性食品としての加工利用が期待される。 |
キーワード | イネ、機能性成分、GABA、発芽玄米、糖質米 |
背景・ねらい | 近年、消費者の健康志向から、血圧降下作用のあるGABAを豊富に含む発芽玄米は、現在、年間1万5000トンの流通量と150億円を超える市場を形成するに至っている。そこで、発芽玄米の一層の消費拡大を図るため、GABAの量が多く、嗜好性を高めた発芽玄米用品種を育成する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「北陸169号」は、1989年中央農業総合研究センター・北陸研究センター(旧北陸農業試験場)において新形質米品種の育成を目的として、糖質変異系統の「EM5」と「奥羽331号」(後の「ふくひびき」)を交配した後代から育成された糖質米系統である。 2. 出穂期は「コシヒカリ」より3日程度遅く、育成地では“中生の中”、成熟期は出穂後30日を目途とするため“早生の晩”に属する粳種である(表1)。 3. 稈長は“短”、穂長は中”、穂数は“やや少”、草型は“偏穂重型”で、脱粒性は“難”である(表1)。 4. 玄米の厚さは約1.5mmで極薄く、千粒重は15g程度と極軽く、収量は、「コシヒカリ」、「キヌヒカリ」より少なく、これらの品種の約60%である(表1)。 5. 発芽時の重量あたりのGABAの含有量は、「コシヒカリ」の3倍前後であり、水溶性多糖(植物グリコーゲン)を、乾物重あたり約30%含有する(表2)。 6. いもち病真性抵抗性遺伝子はPiaとPibを併せ持つと推定され、葉いもち圃場抵抗性は“やや強”、穂いもち圃場抵抗性は不明である。穂発芽性は“極易”、障害型耐冷性は“弱”である。 7. 出穂後29日目から、籾の発芽率が上昇し、一方、籾重は、出穂後30日前後まで増加し、その後、一定となるので(図1)、出穂後30日を目途に収穫することで、穂発芽による品質低下を防ぐことができる。 |
成果の活用面・留意点 |
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図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | いもち病 加工 機能性成分 消費拡大 新品種 機能性食品 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 |