海洋深層水の電解水を活用した水稲種籾消毒効果

タイトル 海洋深層水の電解水を活用した水稲種籾消毒効果
担当機関 富山農技セ
研究期間 1989~1989
研究担当者 向畠博行
松本美枝子
梅沢順子
発行年度 2004
要約 水稲種籾を浸種前に50℃に加温した海洋深層水の酸性電解水に、次いでアルカリ性電解水に各1時間浸漬することで、主要な種子伝染性病害のいもち病、ばか苗病、苗立枯細菌病、もみ枯細菌病及び褐条病に対して防除効果が高い。
キーワード イネ、種子伝染性病害、海洋深層水、酸性電解水、アルカリ性電解水、消毒効果
背景・ねらい 水稲生産において、農薬による種籾消毒はその廃液処理が環境面で大きな問題となっているほか、病原菌に薬剤抵抗性が付与され易い。したがって、環境保全型農業の推進上だけでなく、より安定した防除効果を得るためにも化学合成農薬に頼らない種子消毒体系の確立が求められている。近年、酸性電解水や温湯を利用した水稲の種子伝染性病害の効果試験が行われているが、一部の病害に対しては必ずしも十分な防除効果が得られていない面がある。一方、富山県では農業分野でも海洋深層水の利用を積極的に図りたいとする意向がある。そこで、海洋深層水の酸性電解水及びアルカリ性電解水の両方を用いた効率的な防除法を開発する。
成果の内容・特徴 1.
海水用電解水製造装置(N社製)による海洋深層水(食塩濃度3.4%)の電気分解では、pH4.0~4.5,有効塩素濃度100~130ppmの酸性電解水とpH10.0~11.0,有効塩素濃度2~5ppmのアルカリ性電解水を生成する。
2.
種籾を海洋深層水のアルカリ性電解水に一定の温度と時間の条件下で浸漬処理することで苗立枯細菌病ともみ枯細菌病に対して顕著な発病抑制を示す(表1)。一方、海洋深層水の酸性水に浸漬することで褐条病とばか苗病に対して防除効果が高い(表2)。これらは浸漬温度を高めることにより、処理時間が短縮される。
3.
各種病害を同時に防除するには、各温湯処理装置(T社製)内で、まず海洋深層水の酸性電解水に50℃で1時間浸漬し、次にアルカリ性電解水に50℃で1時間浸漬する方法が最も防除効果が高い(表3、図1)。
4.
上記の処理による防除効果は、温湯処理(60℃、10分)と比較すると、苗立枯細菌病と褐条病に対しては優り、糸状菌病に対してはほぼ同程度である(データ略)。また、苗立枯細菌病に対しては慣行薬剤よりも防除価が高い(表1、3)。
成果の活用面・留意点 1.
本種籾消毒法は種子の発芽率や発芽勢が向上する効果がある。
2.
50℃の両電解水の上記処理体系において、3回連続で種籾を浸漬使用しても防除効果は低下しない。
図表1 217903-1.jpg
図表2 217903-2.gif
図表3 217903-3.gif
図表4 217903-4.gif
カテゴリ 病害虫 いもち病 種子消毒 水稲 抵抗性 農薬 防除 もみ枯細菌病 薬剤

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