リアルタイムPCRによる混米率の測定法

タイトル リアルタイムPCRによる混米率の測定法
担当機関 三重科技セ
研究期間 2003~2004
研究担当者 橋爪不二夫
林克弘(三重科技保環研部)
奥西智哉(食総研
現中央農研)
発行年度 2005
要約 三重県育成品種「みえのえみ」等の主品種に混入した他品種の割合(混米率)をリアルタイムPCRによって定量的に測定する方法を開発する。混米サンプルをバルクでDNA抽出するため、1粒ごとの判別による定量に比べ労力を大幅に軽減できる。
キーワード イネ、混米率、リアルタイムPCR、定量
背景・ねらい 消費者が自己の判断による選択を行えるようにすることを目的にJAS法の改正が行われ、品種、その割合、産地および産年等の表示が義務づけられた。これに対応すべくDNAによる品種判別技術が開発され、コメ品種を定性的に分別することが可能になった。既に市販品の判別キットが開発され、民間検査機関による受託分析も行われている。しかしながら、現時点では品種の混合割合は通常数10粒のコメを1粒ずつ定性的に判別するという擬似的な定量法により行われており、多大な労力と時間がかかる上、サンプリングの仕方によって実際の母本における混米率と大きく異なる可能性がある。
そこで、数100~数1000粒のコメを粉砕・均一化して抽出したDNAを鋳型とし、リアルタイムPCRによって省力的、かつ精度の高い混米率の測定法を開発する。

成果の内容・特徴 1.
ブレンダーで粉砕した米粉からDNeasy Plant Mini Kit (QIAGEN社製)を使ってDNAを抽出する。混入品種検出用マーカーとして用いるプライマーセットE30q(Okunishi et al., Food Sci. Technol. Res., 2006)は、表1に示した増幅領域なしの品種と増幅領域ありの品種を識別できる。E30q及びコメ共通遺伝子用マーカーとして用いるプライマーセットWxq(ibid)の塩基配列は表2の通りである。
2.
反応液は、鋳型DNA(20ng/μL)2.5μL、2×SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems社製) 12.5μL、Forward 及び Reverse primer 最終濃度各0.5μMとし、全 量で25μL/wellとする。リアルタイムPCR(Applied Biosystem社製ABI PRISM 7900 HT)の反応は、50℃ 10分→95℃ 2分→(95℃ 30秒→59℃ 1分)×45サイクルとする。
3.
5%から25%位の範囲で、「みえのえみ」に「ヤマヒカリ]、「うこん錦」のどちらが混入し た場合でも期待値に近い測定値が得られる(表3)。混入率を50%の場合ではやや誤差が 大きくなり、期待値より2~3割高い測定値となる(表3)。
4.
わずか1%の混入でも測定値は期待値よりやや高くなるが、検知は可能である(表3)。

成果の活用面・留意点 1.
「みえのえみ100%」等と表示された商品について、検知可能な他品種の混入率を省力的、かつ高感度で測定できる。これにより、検査する米の表示の信頼度を高めることができる。
2.
県が配付するイネ原種について、わずかな混入も見逃さないことで純度を確保でき、県産米の信頼性の向上に寄与できる。
3.
定性判別等により混入している品種の情報が分かった場合、それに応じたプライマーを選択することで、銘柄米と混入品種の様々な組み合わせについても応用することができる。
図表1 218101-1.gif
図表2 218101-2.gif
図表3 218101-3.gif
カテゴリ 品種

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