小麦「農林61号」の粗蛋白質含有量を適正化するための追肥要否判定法

タイトル 小麦「農林61号」の粗蛋白質含有量を適正化するための追肥要否判定法
担当機関 埼玉農総研
研究期間 2001~2005
研究担当者 上野敏昭
武井由美子
斉藤孝一郎
石井博和
小指美奈子
相崎万裕美
発行年度 2005
要約 小麦「農林61号」の子実粗蛋白質含有量は7葉期の土壌硝酸態窒素含有量の簡易測定値と播種から7葉期までの降水量の積により、または穂揃い期の止め葉の葉色値により予測可能であり、それぞれの時期において追肥の要否が判定できる。
キーワード コムギ、農林61号、子実粗蛋白質含有量、7葉期、穂揃い期
背景・ねらい 質小麦生産のためには子実の適正な粗蛋白質含有量の確保が必須である。灰色低地土では全般的に適正値よりも低いことが指摘されているが、年次間差やほ場の前作条件による変動が大きく、画一的な施肥では適正な粗蛋白質含有量の確保は困難である。
このため、粗蛋白質含有量を予測できる生育診断技術を開発し、追肥の要否判定を的確に行うことで、小麦の高品質化に資する。

成果の内容・特徴 1.
小麦「農林61号」の子実粗蛋白質含有量は、前作物が水稲、大豆それぞれの場合で、7葉期の土壌硝酸態窒素含有量と播種から調査時までの合計降水量との積と高い相関が認められる(図1)。
土壌硝酸態窒素含有量と降水量の積が水稲後では1500、大豆後では850を下回る場合、子実粗蛋白質含有量が適正値の下限9.5%未満と予想されるため、追肥が必要である。
2.
子実粗蛋白質含有量は穂揃い期の止め葉葉色値とも高い相関が認められ、この関係は7葉期に追肥を実施した場合にも当てはまる(図2)。
止め葉の葉色値が水稲後では48、大豆後では42を下回る場合、子実粗蛋白質含有量が適正値の下限9.5%未満と予想されるため、追肥が必要である。
3.
7葉期の追肥は、窒素成分2kg/10aと3kg/10aで効果の差が認められないことから、2kg/10aとする。7葉期追肥による子実粗蛋白含量の増加は0.4%程度である(図3)。なお、4kg/10aの施用は倒伏を増大し、品質を損なうので行わない(データ略)。
4.
穂揃い期の追肥は、窒素成分2kg/10aの施用で1.5%程度の粗蛋白質含有量の増加が期待できる(図4)。

成果の活用面・留意点 1.
土壌硝酸態窒素含有量の測定は、農大式簡易土壌診断みどりくんNを使用する。土壌 は、降雨後等土壌水分の高い状態を避け、麦立毛直下から通常量の4倍の20gを採集する。以降の測定手順は通常の使用方法に準じ、測定値は割り戻す。試験紙の呈色を比色 表と見比べて硝酸態窒素含有量を判定するため、事前に目合わせを行うとよい。
2.
穂揃い期の葉色測定は、ミノルタ社製SPAD502を使用し、止葉葉身の中央から先端1/3ほどの間で、葉脈を避けて行う。
3.
本成果は細粒灰色低地土において、条間30cm条播、播種量6~8kg/10a(苗立ち数150~200本/m2)、基肥窒素レベル4~15kg/10aの条件での試験結果である。他の土壌や栽培様式での適応性については別途検討が必要である。
4.
本結果から、追肥の合計は最大で4kgとなるが、この施用量で外観品質や粉色の低下は見られない(データ略)。
図表1 218135-1.gif
図表2 218135-2.gif
図表3 218135-3.gif
カテゴリ 簡易測定 簡易土壌診断 小麦 水稲 生育診断技術 施肥 大豆 播種

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