麦芽α-アミラーゼの品種間差異及びその麦芽品質との関係

タイトル 麦芽α-アミラーゼの品種間差異及びその麦芽品質との関係
担当機関 栃木農試
研究期間 2005~2005
研究担当者 山口恵美子
長嶺敬
関和孝博
大関美香
発行年度 2005
要約 麦芽α-アミラーゼ活性には大きな品種間差異があり、低蛋白質系統「大系HL138-8-5」やその後代系統のα-アミラーゼは高活性である。高α-アミラーゼ特性は、高ジアスターゼ力、低麦汁β-グルカンなどの好ましい麦芽特性と関係がある。
キーワード 二条オオムギ、α-アミラーゼ、ジアスターゼ力、麦芽品質
背景・ねらい α-アミラーゼは生澱粉粒に対する分解活性をもち、澱粉の分解初期に主導的役割を果たすとともに、ジアスターゼ力の主体であるβ-アミラーゼが作用しうる澱粉非還元末端を増加させ、分解反応を促進する役割をもつ。そのため、ビール・発泡酒の副原料に用いられる澱粉の分解にはとくに重要な酵素であり、麦芽α-アミラーゼ活性の高い品種の開発が重要な品質育種課題となっている。しかし、麦芽α-アミラーゼ活性については日品種の品種間差異や麦芽品質との関係など今後の高品質化育種のために必要な基礎的情報が不足しており、その解明が求められている。

成果の内容・特徴 1.
ビール麦の主要品種、高品質中間母本系統、遺伝資源などの麦芽α-アミラーゼ活性は、132 U/g(大系HO45)~19 U/g(大系HL97)の最大6.9倍の品種間差異がみられる(図1)。なお、製麦ロットの違いによる麦芽α-アミラーゼ値の変動標準偏差は10 U/g以下で品種間差異に比べて小さく安定している(データ略)。
2.
「大系HO45」は最も高い活性を示し、交配母本として有用である。また、低蛋白質系統「大系HL138-8-5」とその後代系統に麦芽α-アミラーゼ活性が高いものが多いが、後代系統には変異が見られた(表1、図1)。我が国の主要品種間でも1.5倍程度の品種間差異があり、ミカモゴールデン(100 U/g)などの活性が高い(表1)。
3.
高α-アミラーゼ活性の系統は、ジアスターゼ力は高く、麦汁β-グルカンや麦汁粘度は低くなる傾向があり、高品質化育種には有利な材料である(図2、表2)。ただし、麦芽α-アミラーゼ活性は麦芽可溶性窒素やコールバッハ数などの蛋白質分解特性値とも弱い正の相関(それぞれr=0.36**、0.32**)をもち、製麦による蛋白質分解がやや過剰な高α-アミラーゼ系統もある。

成果の活用面・留意点 1.
高α-アミラーゼ系統「大系HL138-8-5」は通常品種よりも原麦蛋白質含量が1.5~2.0%程度低い「低蛋白質特性」も有する。
2.
高α-アミラーゼ系統には麦芽可溶性窒素やコールバッハ数が高すぎる系統もあるので、選抜には注意する。
図表1 218138-1.gif
図表2 218138-2.gif
図表3 218138-3.gif
図表4 218138-4.gif
カテゴリ アスター 育種 遺伝資源 大麦 品種

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