Tombusvirus属ウイルスによるトルコギキョウの新病害と血清学的診断法

タイトル Tombusvirus属ウイルスによるトルコギキョウの新病害と血清学的診断法
担当機関 宇都宮大
研究期間 2005~2007
研究担当者 藤永真史
守川俊幸(富山農技セ野花試)
土井誠(静岡農試)
米山千温(静岡農試)
小木曽秀紀
宮本賢二
宮坂昌実
島嘉輝(富山農技セ野花試)
夏秋知英(宇大)
発行年度 2005
キーワード トルコギキョウ、新病害、トンブスウイルス、TBSV、血清学的診断法
背景・ねらい 長野県および静岡県のトルコギキョウ産地において、ウイルス病害に特徴的なえそ性の萎縮症状が発生し問題となっている。発生様相は土壌伝染性ウイルス病害の特徴を有すものの原因が特定できず被害の拡大が危惧されている。そこで、これら被害株から病原ウイルスを分離し、それらの諸性質について検討するとともに診断技術を確立する。

成果の内容・特徴 1.
本病の病徴は図1に示すように下葉での大型のえそ輪紋、頂部から数節にかけての退緑及びねじれや萎縮、葉での輪郭明瞭な丸いえそ斑点、花の斑入り症状等であり、ハウス内で坪状に点在する場合や、特定の畦前方からハウス後方に向かって激しく発生する。
2.
長野県および静岡県で発病したトルコギキョウ感染株から、いずれも径約30nm球状ウイルスが分離され(以下、長野株および静岡株とする:図1)、それぞれ接種により原病徴が再現される。
3.
両分離株の複製型二本鎖RNA (dsRNA)の泳動パターンはトンブス属ウイルスの特徴を示すが(データ省略)、各分離株の検定植物への汁液接種より、静岡株は対照のTBSV-ツノナス株と同様にホウレンソウ、トマト、Datura stramonium、トウガラシ、センニチコウに全身感染するが、長野株はD. stramoniumの上位葉に無病徴感染するものの、ホウレンソウ、トマト、トウガラシ、センニチコウには局部感染するのみで宿主範囲がやや異なる(表1)。
4.
両分離株に対する抗血清を用いたゲル内二重拡散法で、静岡株とTBSV(ツノナス株)の沈降帯は融合するのに対して長野株と他2株との間にはスパーを生じる(図2)。
5.
長野株および静岡株はトンブス属ウイルスの外被タンパク質(CP)領域全長を増幅できるユニバーサルプライマーを用いたRT-PCR反応により、目的とする増幅断片が得られるとともにCP遺伝子領域解析の結果、静岡株のアミノ酸配列はTBSVと極めて高い相同性(98%)を示す。一方、長野株は既往のトンブス属ウイルスでも最高でも79%であり同一種とする程度の相同性が高いものは見当たらない。以上の諸性質より静岡株はTBSV、長野株はそれに近縁なトンブス属ウイルスの一種であると判断される。
6.
作製した抗血清を用いたDIBA法などの血清学的診断法により、両ウイルスを容易に検出できる(図3)。

成果の活用面・留意点 1.
作製した抗血清を用いた血清学的診断法により、迅速簡便にこれらトンブスウイルスの検出が可能である。
2.
土壌伝染性ウイルス病の防除対策を確立するためには、その伝染環をはじめとした発生生態に基づき、土壌消毒法や抵抗性品種の利用などの効果的な組み立てが有効と考えられるが、媒介者の有無や種子伝染などの伝染環は不明である。
3.
長野株はトンブス属ウイルスの新種である可能性が高いが、現状不明である。
図表1 218177-1.jpg
図表2 218177-2.jpg
図表3 218177-3.jpg
図表4 218177-4.gif
カテゴリ 肥料 病害虫 栽培技術 診断技術 せんにちこう 抵抗性品種 とうがらし 土壌消毒 トマト トルコギキョウ なす 防除 ほうれんそう

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