タイトル |
カレー用調理米飯向き品種「華麗舞」 |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
1979~2005 |
研究担当者 |
三浦清之
笹原英樹
後藤明俊
重宗明子
上原泰樹
小林 陽
古賀義昭
内山田博士
佐本四郎
藤田米一
太田久稔
清水博之
石坂昇助
山田利昭
中川原捷洋
奥野員敏
小牧有三
堀内久満
福井清美
丸山清明
大槻 寛
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発行年度 |
2005 |
要約 |
「華麗舞」は寒冷地南部では中生の早に属する細長粒の粳種で、短稈、穂重型の品種である。炊飯米は、表面の粘りは少ないが、内部は 「コシヒカリ」並に軟らかいという米飯物性を示す。日本で市販されているとろみのあるカレールウと良く合い、カレー用調理米飯としての用途が期待される。
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キーワード |
イネ、調理用米、カレー
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背景・ねらい |
大量に消費されているカレーライスに適した品種を育成し、調理米飯製品として、米の消費拡大を図る。日本型品種は、粘りがあり、軟 らかく、日本人の嗜好性が高いが、表面の付着性が強いため米飯とカレーとの混合性が悪い。一方、印度型品種は表面の付着性は低いが、硬いため、我が国の消 費者の受容性が低い。日印交配により、両者の長所を兼ね備えた、とろみのあるカレールウにあう米飯物性を持つ水稲品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「華麗舞」は、カレーのルウになじみやすく、日本人の嗜好にあった調理米飯用品種の育成を目的とし、印度型品種「密陽23号」と日本型品種「アキヒカリ」の交配により育成された。米が軟らかく、表層の粘りの少ない系統を官能評価により選抜し、機器による米飯物性の評価を行い、さらに、カレールウへの適性を確認した。
- カレールウを白飯にかけた際、「コシヒカリ」および「サリークィーン」よりも食味の評価が高く、カレールウに良く合う(表1、図1)。
- テンシプレッサーでの低圧および高圧による物性測定では、「コシヒカリ」より、表層の硬さは硬く、粘りおよび付着性は少なく、全体の硬さおよび粘りは「コシヒカリ」と同等であり(表2)、表面の粘りは少ないが、内部は「コシヒカリ」並に軟らかい米飯物性を持つ。
- 出穂期は「コシヒカリ」より4~5日程度早く、育成地では“中生の早”、成熟期は5~9日程度早い“中生の早”に属する粳種である(表3)。
- 稈長は“短”、穂長は“やや長”、穂数は“少”、草型は“穂重型”で、脱粒性は“難”、耐倒伏性は“強”である(表3)。
- 千粒重は「コシヒカリ」より2g程軽く、収量は、多肥では、「コシヒカリ」、「キヌヒカリ」並で、標肥では、これらの品種よりやや少ない(表3)。
- 穂発芽性は“やや易”、障害型耐冷性は“極弱”である。縞葉枯病に対して抵抗性で、白葉枯病耐病性は“やや弱”である。
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成果の活用面・留意点 |
- カレーライス等に好適な調理米飯製品の開発により、米の消費拡大に繋がる。
- 「コシヒカリ」と同等の熟期で、同様な作付が可能である。栽培適応地域は、東北南部、北陸および関東以西の冷害常襲地を除く地域である。
- 障害型冷害への耐冷性が極弱のため、冷害の危険のある地域での栽培は避ける。
- PiaとPibのいもち病真性抵抗性遺伝子を持つため、現在のところ、いもち病の発病は認められないが、新レースの出現による発病の可能性があるため、発病が認められた場合、直ちに防除を行う。
- 玄米が細いため、収穫した玄米の選別の際に、篩目の幅に留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
縞葉枯病
消費拡大
抵抗性
抵抗性遺伝子
凍害
品種
防除
良食味
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