ウシ初乳の一般細菌汚染と子牛感染症との関連性

タイトル ウシ初乳の一般細菌汚染と子牛感染症との関連性
担当機関 静岡畜試
研究期間 2006~2008
研究担当者 笠井幸治
佐野文彦
山岸健二
赤松裕久
土屋貴幸
発行年度 2006
要約 酪農家で凍結保存されたウシ初乳は、乳房から採取した初乳に比べて一般細菌の検出率が高く、生菌数も多いが、全初乳検体とも60℃30分加熱によって細菌は検出されなくなる。また、給与した初乳中の生菌数が1.0×104cfu/mlを越えると、子牛の桿状核好中球数が増加し、活力低下等の症状が発現する。
キーワード ウシ初乳、一般細菌、生菌数、子牛感染症
背景・ねらい ウシ初乳は子牛に免疫グロブリン等を付与する上で重要だが、初乳を介した子牛への感染症(ヨーネ病、牛白血病など)も多い。しかし、牛舎やウシ乳房に常在する一般細菌の初乳汚染については、よくわかっていない。そこで、酪農場で凍結保存されている初乳(以下、凍結初乳)と乳房から直接、採取した初乳(乳房採取初乳)について、一般細菌を分離・同定し、汚染状況を明らかにする。また、初乳中の生菌数が子牛に与える影響についても調査する。

成果の内容・特徴 1.
静岡県の10酪農家より採取した凍結初乳12検体、乳房採取初乳20検体を対象に、一般細菌の分離・同定と生菌数を測定した。その結果、凍結初乳の75% からEschirichia coli, Staphylococcus chromogenes 等が分離され、平均生菌数は1.8×104cfu/mlである。乳房採取初乳は10%からStreptococcus uberis 等が分離されたのみで、平均生菌数は3.5×102cfu/mlで、凍結初乳のほうが乳房採取初乳より生菌数が多い(P0.05)(図1)。また、全初乳検体とも、60℃30分加熱により、一般細菌は検出されなくなる。
2.
健康な初生子牛5頭を対象に、初乳を生後2日間給与し、3日目以降は全乳を給与した。その結果、給与初乳中の生菌数が1.0×104cfu/mlを越える2頭では、活力の低下等が発現する(表1)。この2頭を臨床異常群、他の3頭を正常群として血液検査を比べると、臨床異常群では桿状核好中球数が増加する傾向を示す(図2)。

成果の活用面・留意点 1.
搾乳器具の汚染や乳房炎に起因する初乳の細菌汚染対策に活用できる。
2.
初乳の生菌数と子牛感染症との関連性および初乳の低温殺菌処理の有効性について、普遍性が裏付けられれば、子牛感染症の低減技術として普及に移せる。

図表1 218245-1.gif
図表2 218245-2.gif
図表3 218245-3.gif
カテゴリ 乳牛

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