タイトル | 体細胞クローン豚後代産子からの生産物の食品としての安全性調査 |
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担当機関 | 静岡県中小畜試 |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
柴田昌利 河原崎達雄 大竹正剛 土屋聖子 |
発行年度 | 2006 |
要約 | 金華豚における体細胞クローン豚の後代産子の食品としての安全性を検討した結果、発育や血液生化学検査成績や筋肉などの成分も一般の金華豚と同様である。マウスを用いた急性毒性等でも異常は見られず、食品の安全性を危惧する所見は認められない。 |
キーワード | ブタ、体細胞クローン、金華豚、後代産子、安全性 |
背景・ねらい | 新しい技術である豚体細胞クローン技術の畜産分野での活用を図るため、体細胞クローン豚及びその後代産子がドナー豚の品種特性を有していることを明らかにした。今回は、体細胞クローン豚の後代産子について、食品としての安全性を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 体細胞クローン豚後代産子(クローン産子)は通常繁殖の豚(対照豚)と同様の発育を示し、クローン産子に特徴的な臨床症状を示すもの及び死亡例はみられない(図1)。経時的な血液生化学検査では対照豚と有意差のある項目もみられたが、その数値は両群とも正常範囲内またはクローン産子がより正常に近い値であり、全期間を通じて有意差のある項目はない(表1)。 2. クローン産子の内臓及び筋肉の一般成分組成や筋肉の蛋白構成アミノ酸は対照豚と差は見られない(表2)。筋肉のATP、ADP等の核酸関連物質や脂肪組織の低級脂肪酸組成も概ね対照豚と同様である。 3. 凍結乾燥したクローン産子の筋肉を基礎飼料に5、2.5、1及び0%(対照区)添加した試験飼料を28日間マウス(雌雄それぞれ6匹)に与えたところ、異常な臨床症状を呈するものは無く、発育も対照区のマウスと同様であり(図2)、解剖所見でも異常は見られない。 4. クローン産子筋肉の凍結乾燥試料(2000、1000、500、250mg/kg)をマウス(各区7匹)に投与しても、多染性赤血球中の小核出現率の増加は見られず、変異原性は陰性である。 5. マウス腹壁法においてアレルゲン性を調査したところ、対照豚と同様のアレルゲン性は見られるが、対照豚との間に交さ反応が見られ、クローン技術による新たなアレルギー物質の生成の所見は認められない。 6. 以上の結果から、クローン産子は、産子の健全性及び生産物の成分組成の面で、対照豚と同様である。また、マウスを用いた試験でも安全性を危惧する所見は見られない。 |
成果の活用面・留意点 | 1. この調査で得られた結果は、体細胞クローン豚由来肉の安全性評価の参考データや体細胞クローン豚に対する一般の理解を得るための説明データとして活用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 乾燥 繁殖性改善 品種 豚 |