タイトル | 空気膜ハウスの暖房燃料削減効果とトルコギキョウの生育への影響 |
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担当機関 | 長野農総試 |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
宮本賢二 鈴木尚俊 山本宗輝 |
発行年度 | 2006 |
要約 | パイプハウスへフィルムを2枚重ねて展帳し、その間に空気を送り被覆の複層化を図る空気膜ハウスは、冬季の暖房燃料使用量を30%削減することが可能である。また、1月定植・6月開花のトルコギキョウの生育及び切り花品質への影響は、認められない。 |
キーワード | パイプハウス、空気膜ハウス、暖房燃料、30%削減、トルコギキョウ |
背景・ねらい | 園芸品目では、施設化により作期が拡大し、周年生産化が図られるようになっている。一方、地球温暖化防止を目指したCO2の排出削減は、化石燃料の消費量削減を意味しており、施設園芸における効率的なエネルギー利用が求められている。加えて、原油を取り巻く不安定な情勢は、原油価格の高騰を招き、農家経営の安定には効率的なエネルギー利用技術の確立が急務である。そこで、パイプハウスを対象として、低温期の施設環境を見直し、空気膜ハウスの特性等を検討し、トルコギキョウによる栽培適性評価を行い、より効率的なエネルギー利用による施設栽培技術を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. パイプハウスの空気膜化は、両端のアーチパイプへのフィルム固定部材の取り付けと、送風機の設置のみで済み、大きな改造を要しない。 2. 試験に供試したハウスは、いずれも30坪規模である。空気膜ハウスは、天張り部及びサイド巻き上げ部を二重被覆し、そのフィルムの間に送風機で常時送風し空気圧を保つ(図1)。 3. 降雪時、対照ハウスは雪が溶けてから滑落する傾向が強いが、空気膜ハウスはフィルムの揺れ等により、溶ける前に滑落する傾向が強い。 4. 空気膜化の前段階としての二重被覆は、暖房燃料使用量の削減効果は全く認められない(図2)。しかし、二重被覆のフィルム間に空気を送り、空気膜にすると、対照ハウスの暖房燃料使用量に対し33.2%(2005年)、35.2%(2006年)の削減効果が認められる(図3)。 5. 切り花の生育に対する影響をトルコギキョウで調査した。その結果、開花期には差が見られず、切り花品質(花色も含む:達観)への悪影響は認められない(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. この成果は、単棟ハウスにおけるものであり、パイプハウスの規模や形状に応じ、フィルムの張り方を考慮する必要がある。また、積雪地域の連棟ハウスの空気膜化は、融雪方法を考慮する必要がある。 2. 試験に供試したフィルムは、0.1mm厚の農POフィルムである。なお、対照ハウスには、空気膜ハウスと同材質のフィルムを一重被覆した。また、暖房機はKA-203(出力23.3kW、ネポン社製)、使用燃料は灯油である。 3. 生育、切り花品質調査は、2005年1月7日にドレンベッドに定植した結果である。 4. 送風する空気の湿度が高いと、空気膜内に結露を生じるが、流滴した結露水はフィルム押さえ部から流出する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | 経営管理 栽培技術 施設園芸 施設栽培 トルコギキョウ |