タイトル | オーチャードグラス草地に小面積時間制限で搾乳牛の放牧 |
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担当機関 | 山梨酪試 |
研究期間 | 2001~2006 |
研究担当者 |
保倉勝己 横山紅子 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 搾乳牛をオーチャードグラス草地に3~4時間放牧すると、0.8a/頭/日の面積では放牧草採食量は3kg/日程度となり、この採食量でも牛乳中のβ-カロテン含量は増加する。5~7月の搾乳牛放牧草利用率が低いが、育成牛の後追い放牧により利用率を向上できる。 |
キーワード | 時間制限放牧、オーチャードグラス、ホルスタイン種搾乳牛 |
背景・ねらい | 土地基盤の不十分な都府県の酪農においてもペレニアルライグラスを用いた集約放牧技術により、小面積でも濃厚飼料等の節減効果が示されている。しかし、現状ではペレニアルライグラスが利用できるのは気温の低い高標高地域などに限定される。そこで、ペレニアルライグラスよりも耐暑性の高いオーチャードグラスを用いた小面積放牧技術について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. オーチャードグラス(品種:マキバミドリ)主体草地に、泌乳中後期のホルスタイン種搾乳牛を割当面積0.67a/頭/日で午前中3~4時間の1日輪換放牧を行うと、放牧草の乾物採食量は2~4kg/日となる(図1)。この採食量での草地からの栄養供給率は、日乳量30kgでは粗蛋白は16~29%、TDNは12~17%となり、乳量20kgでは粗蛋白は23~40%、TDNは16~22%となる(表1)。牛乳中のβ-カロテン含量も、舎飼い牛に比べて4~8倍程度の値となる(図2)。 2. 草地の1日当たりの乾物生産量は5月が5.9kg/10aで最も高く、6月~9月は3.5kg/10a前後で推移するが、5~7月は出穂茎が多くなるため、搾乳牛の放牧草利用率は30%以下と低くなる。この場合、搾乳牛放牧後に育成牛を後追い放牧すると、搾乳牛との合計利用率は約40%まで増加し、放牧草の有効利用が可能となる。(図1) 3. 牧草の平均利用率(5~7月:搾乳牛27%、搾乳牛+育成牛後追い放牧43%、8~10月:搾乳牛38%、搾乳牛+育成牛後追い放牧50%、ただし10月は後追い放牧を実施しない)から、搾乳牛の採食量を乾物約3kg/日程度にするために必要な割当面積は、入牧時草量を5~9月は140kg/10a(草高約30cm)、牧草の再生が遅い10月は100kg/10a(草高約25cm)とすると、0.8a/頭/日である。必要牧区数は季節により変動し、14~23牧区である。(表1) |
成果の活用面・留意点 | 1. ペレニアルライグラスが夏枯れする地域において、泌乳中後期の搾乳牛放牧を導入する際に参考となる。 2. 山梨県北部(標高700m、5~10月の平均気温19℃、同降水量980mm)の播種後3~7年目の草地で得た成績である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 耐暑性 乳牛 播種 品種 放牧技術 |