タイトル | ウメ「十郎」のマンガン欠乏症に対するマンガン資材の葉面散布効果 |
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担当機関 | 神奈川農技セ |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
井上博道(果樹研) 関達哉 柴田健一郎 小泉和明 北尾一郎 |
発行年度 | 2007 |
要約 | ウメ「十郎」で火山灰土壌を中心に5月中旬から葉脈間が黄白化するマンガン欠乏症では、症状発生前の5月上旬から約10日間隔で3回の0.3%硫酸マンガン溶液の葉面散布により、葉の退色や黄白化症状が改善される。 |
キーワード | ウメ、マンガン欠乏、葉面散布、硫酸マンガン |
背景・ねらい | ウメ「十郎」は、神奈川県の梅干し用主要品種となっているが、近年、葉色が淡く、葉脈間が黄白化するマンガン欠乏症が県内各地で発生し問題となっている。また、激発園の一部では、「南高」、「白加賀」、「梅郷」、「信濃小梅」等の他品種にも症状が発生する。 そこで、この対策技術確立のため硫酸マンガンの葉面散布による葉脈間黄白化症状の改善効果について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ウメ「十郎」の葉脈間黄白化症状は火山灰土壌を中心に多発しており、症状は5月中旬から枝単位で発生するが、激しい場合は樹全面に発生する(図1)。 2. マンガン欠乏樹には、0.3%硫酸マンガン溶液を欠乏症状発生前の5月上旬から約10日間隔で3回葉面散布する。これにより葉色の低下が抑えられ、葉脈間黄白化症状が改善される(表1)。 3. 収穫前の散布が出来なかった場合は、収穫後の7月中旬から約10日間隔で3回の0.3%硫酸マンガン溶液葉面散布する。、散布樹では、最終散布から1ヶ月後(9月上旬)の葉色低下は軽減される。しかし、葉脈間黄白化症状の改善はみられない。(表2)。 4. 硫酸マンガン溶液の1回当たりの散布量は、1樹(18年生)当たり約10~15リットルである。 5. 硫酸マンガン葉面散布処理による果実重、核重率、ヤニ果有無への影響は認められない(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 土壌中マンガンの可給性が低い条件下で、土壌改良を目的とした石灰等が施用されることで土壌pHが上昇し、pH6.0以上で土壌中の交換性マンガンが少なくなり、濃度が40 mg kg-1以下になることで欠乏症が発生する。毎年、石灰等を施用し、欠乏症状が認められている園では、、土壌pHがすでに6.0以上になっていると考えられるため、当面は石灰等を施用しない。 2. マンガン欠乏症と間違えやすい他の欠乏症として、マグネシウム欠乏は葉の黄化が古葉から現れ、新葉はほとんど黄化しない。亜鉛欠乏は、緑と黄化部のコントラストが明瞭である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | うめ 土壌改良 品種 |