β-カロテンの多い中玉トマト新品種「ちばさんさん」の育成

タイトル β-カロテンの多い中玉トマト新品種「ちばさんさん」の育成
担当機関 千葉農総研
研究期間 1997~2006
研究担当者 牛尾進吾
小原麻里
草川知行
本居聡子
鈴木秀章
発行年度 2007
要約 トマト新品種「ちばさんさん」は、果実の重量が30g前後でオレンジ色の中玉トマトである。一般的な大玉トマトに比べて、β-カロテン及びビタミンCが多く、食味も良好である。また、TMV(Tm-2型)、萎凋病(レース1)に抵抗性である。
キーワード トマト、中玉、育種、β-カロテン、良食味
背景・ねらい 近年、健康志向の高まりから、栄養成分を多く含み、食味、色などに特徴のあるトマトが望まれている。そこで、β-カロテンやビタミンCが多く、糖度が7以上で食味が良いトマト品種を育成する。

成果の内容・特徴 1.育成経過
「ちばさんさん」は、「Ni2101-08」(市販品種「オレンジキャロル」の自殖選抜系統 「nv-1」と市販品種「ビタミンエース」の自殖選抜系統「育プロ2号」の交雑系)を種 子親に、「育プロ2号」を花粉親とした一代雑種である(図1)。
2.「ちばさんさん」の特性
1)
果実の重量が30g前後のオレンジ色の中玉トマトである(図2)。
2)
完熟果のβ-カロテン含量は「レッドオーレ」に比べて約2倍、「ハウス桃太郎」に比べて約5倍である。ビタミンC含量は「レッドオーレ」と同等、「ハウス桃太郎」に比べて約2倍である(図3)。
3)
糖度は約7で食味が良好である。収穫全期間を通して塩水選で沈む果実の割合が高い(表1)。
4)
早生で、「レッドオーレ」、「ハウス桃太郎」に比べて収穫が7日程度早い。
5)
収量は、「レッドオーレ」と同等で、「ハウス桃太郎」の5~6割程度である。上物率は「レッドオーレ」より劣るが、「ハウス桃太郎」に比べてが高い(表1)。
6)
TMV(Tm-2型)、萎凋病(レース1)に抵抗性である。

成果の活用面・留意点 1.
9月から1月播種の半促成栽培(加温型及び無加温型)、2月から3月播種の雨除け栽培に適している。ハウス抑制栽培やハウス促成栽培では、糖度が上がりにくい。
2.
ハウス内の気温は、日中は23~28℃で管理し、夜間は11~12℃を目標にやや高めの夜温管理とする。
3.
土壌病害虫の萎凋病(レース2)、根腐萎凋病、褐色根腐病、ネコブセンチュウ、青枯病等には抵抗性がないので、これらの病害虫が発生する圃場では、抵抗性台木に接ぎ木する。台木にはTMV抵抗性遺伝子型がTm-2型またはTm-2a型を有する品種を用いる。
4.
種子配付は、当分の間、千葉県内に限定する。

図表1 218631-1.gif
図表2 218631-2.jpg
図表3 218631-3.gif
図表4 218631-4.gif
カテゴリ 青枯れ病 育種 害虫 新品種 台木 接ぎ木 抵抗性 抵抗性遺伝子 トマト 根腐病 播種 品種 良食味

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