タイトル | 米麦二毛作地域向けの病害虫複合抵抗性・極良食味水稲新品種「むさしの13号」 |
---|---|
担当機関 | 埼玉農総研 |
研究期間 | 2001~2007 |
研究担当者 |
岡田雄二 戸倉一泰 荒川誠 斎藤孝一郎 重松統 小指美奈子 上野敏昭 新井守 新井登 石井博和 大岡直人 渡邉耕造 武井由美子 箕田豊尚 野田聡 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 水稲「むさしの13号」は、埼玉県では中生の晩に属する粳種である。縞葉枯病抵抗性、ツマグロヨコバイ抵抗性を有し、かつ「コシヒカリ」並の極良食味である。 |
キーワード | 縞葉枯病、ツマグロヨコバイ、良食味、米麦二毛作 |
背景・ねらい | 米麦二毛作地域を中心とした晩植の水稲は生育期間が短いことや登熟期間の温度が低いこと等により、飯米は硬く、粘りが少なく、食味評価は高くない。このため、米のタンパク質含量及びアミロース含量が低く、飯米が軟らかく、粘りが強い良食味品種を育成することをねらいとした。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「むさしの13号」は、縞葉枯病抵抗性・穂いもち圃場抵抗性・ツマグロヨコバイ抵抗性で極良食味の「愛知108号」と縞葉枯病抵抗性・極良食味の「関東209号」(後の「さとじまん」)との交配組合せの後代から育成された系統である。 2. 「朝の光」に比べ、出穂期、成熟期ともほぼ同じ中生の晩である(表1)。 3. 「朝の光」に比べ、稈長・穂長は2cm程度長く、穂数は少ない偏穂重型である。 4. 収量性は、5月上~中旬移植では「朝の光」並だが、6月下旬移植ではやや低収である。 5. 「朝の光」に比べ、玄米千粒重は1g程度重く、粒厚はやや厚い。 6. いもち病真性抵抗性遺伝子型は「Pia」と推定され、葉いもち圃場抵抗性は「中」、穂いもち圃場抵抗性は抵抗性遺伝子「Pb1」を有すると推定され「やや強」である。縞葉枯病には「抵抗性」で抵抗性遺伝子「Stvb-i」を有すると推定される。ツマグロヨコバイには「強」で抵抗性遺伝子「Grh3」を有すると推定される。白葉枯病には「中」である。穂発芽性は「極難」である。 7. 玄米の外観品質は「朝の光」と同等であるが、5月上~中旬移植では、背白粒、基部未熟粒が発生し、品質が低下しやすい。 8. 飯米は粘りが強く、軟らかく、「コシヒカリ」、「キヌヒカリ」並の極良食味である(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 埼玉県北部の米麦二毛作地域を中心に普及が見込まれる。 2. 縞葉枯病、ツマグロヨコバイには抵抗性を有し、被害回避が期待できるが、これら以外の病害虫には適正な防除が必要である。 3. ツマグロヨコバイ抵抗性についてはバイオタイプの出現に留意する。 4. 穂いもちには、穂いもち圃場抵抗性遺伝子「Pb1」を有するが、本病に感染はするため(圃場抵抗性「やや強」)、多発生が予想される場合は防除を行う。 5. イネもみ枯細菌病にはやや弱いので、種子消毒および本田防除を実施する。 6. 葉色は生育期間を通じて淡く推移するので、追肥時期を逸しないよう注意する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 いもち病 害虫 縞葉枯病 種子消毒 新品種 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 二毛作 品種 防除 もみ枯細菌病 良食味 |