タイトル | 水稲「なすひかり」の割れ籾発生と種子消毒法が割れ籾種子の苗に及ぼす影響 |
---|---|
担当機関 | 栃木農試 |
研究期間 | 2007~2007 |
研究担当者 |
五月女恭子 髙齋光延 飯田貴子 大谷和彦 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 割れ籾発生の多かった平成19年産「なすひかり」では、有効茎歩合と割れ籾発生率の間に負の相関が認められる。割れ籾の苗立ちは健全籾より劣るが、イプコナゾール・銅水和剤で種子消毒した割れ籾は90%以上の苗立率を確保できる。 |
キーワード | なすひかり、割れ籾、有効茎歩合、種子消毒 |
背景・ねらい | 平成19年産早植栽培「なすひかり」で割れ籾の発生が見られた。このため、割れ籾の発生様相を明らかにし、割れ籾発生回避のための参考資料とする。また、割れ籾種子の混入率が高いと種子消毒法によっては発芽率が低下するという報告があるため、種子消毒法が割れ籾種子の苗に及ぼす影響を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 平成19年産「なすひかり」は割れ籾の発生が多く、同一条件で栽培した「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」の割れ籾発生率はそれぞれ2.6%、2.9%であるのに対し、「なすひかり」は8.8%であり品種間差が認められる(図1)。 2. 割れ籾発生率は、有効茎歩合が低くなると増加する傾向にある(図2)。収量構成要素と割れ籾発生率の間に有意な相関は認められない(図表省略)。 3. 慣行の栽植密度(22.2株/m2)、施肥量(10a当たり基肥窒素4kg、穂肥窒素3kg)及び分げつ盛期~出穂期の湛水処理を組み合わせた栽培法では、有効茎歩合が低く、割れ籾の発生は増加する。肥効調節型肥料を含む全量基肥と疎植を組み合わせた栽培法では、有効茎歩合が高く、割れ籾発生率は低くなる(図3)。 4. イプコナゾール・銅水和剤及び温湯処理による種子消毒は、いずれの処理方法でも割れ籾が健全籾に比べ苗立率、草丈は低くなるが、イプコナゾール・銅水和剤で処理した割れ籾は90%以上の苗立率を確保できる。温湯消毒を行った割れ籾は、60℃10分、63℃5分処理で苗立率が90%を下回る。また、58℃15分処理では苗立率が90.2%であるものの、反復によるばらつきが大きく、温湯消毒で割れ籾の苗立率を確実に90%以上確保するのは難しい(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 割れ籾は、亀裂の部分から玄米が目視できる籾と内外穎の鉤合が不完全な籾とした。 2. 本年の割れ籾発生は、出穂前の低温寡照と出穂後の高温多照が影響したと考えられる。 3. 割れ籾は生育期間中に病原菌に感染している可能性が高く、無消毒割れ籾種子は雑菌等の発生による腐敗苗が多くなり苗立ちが劣る。割れ籾混入の多い種子を消毒する場合は、褐条病に対する防除効果が低い温湯処理を避ける。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 病害虫 温湯消毒 種子消毒 水稲 施肥 なす 品種 防除 |