タイトル |
RT-PCRによるフリージアのインゲンマメ黄斑モザイクウイルスの検出 |
担当機関 |
資源加工研究部 |
研究期間 |
2001~2006 |
研究担当者 |
吉秋斎
村濱稔
濵絵里子
小牧正子
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発行年度 |
2008 |
要約 |
フリージア(Freesia spp.)の葉からRNAを抽出し、RT-PCRを行うことにより、フリージアの栽培で問題となるインゲンマメ黄斑モザイクウイルス(BYMV)を感度良く検出することができる。
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キーワード |
フリージア、BYMV、コートタンパク遺伝子、RT-PCR
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背景・ねらい |
フリージアの栽培では、ウイルス感染による品質・収量の低下が問題となっている。特に、インゲンマメ黄斑モザイクウイルス(BYMV)による被害が大きく、ウイルスフリー球の増殖・供給が求められている。そこで、既知のBYMVコートタンパク遺伝子の塩基配列情報を基に、ウイルス検出用のプライマーを設計し、RT-PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)を用いたウイルスの検出を試みる。
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成果の内容・特徴 |
- 既知のBYMVコートタンパク遺伝子の塩基配列情報(グラジオラスから単離された系統の配列を含む6種)を基に設計したBYMV特異的プライマー「BYMV-CP54」と「BYMV-CP32」を用いる(表1)。
- 表1に示すプライマーを用いてRT-PCRを行うと、BYMVに感染したフリージアでは、既知のBYMV塩基配列から想定されるサイズ(約480bp)と同じ大きさの増幅バンドが検出される(図1)。
- フリージアの葉からRNAを抽出し、RT-PCRを行った場合は、BYMV由来の増幅バンドを検出できるが、同一個体でも球茎や花弁を用いた場合は、バンドの検出が困難である(図1)。
- 葉にモザイク、えそ、萎縮等の病徴が認められる個体では、RT-PCRによりBYMVが検出される。また、無病徴の個体でも、BYMVが検出される場合があるので、症状の有無だけでウイルス感染を判定することはできない(図1、表2)。
- 培養植物の葉を用いた場合でもBYMVを検出することができる(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- RNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いて葉からRNAを抽出し、SUPER SCRIPT ONE-STEP RT-PCR System(Invitrogen社)を使用してRT-PCR(逆転写条件:50℃30分-94℃2分、PCR条件:94℃30秒-55℃30秒-72℃2分を40サイクル)を行う。
- 潜在感染ウイルスも検出することができるので、育成系統や品種の種苗管理に活用できる。
- 培養容器中の植物体の葉でもBYMVを検出できるので、茎頂培養によってウイルスフリー化した個体を初期に判別できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
いんげんまめ
グラジオラス
品種
フリージア
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