抹茶の退色防止および分散性向上技術の開発

タイトル 抹茶の退色防止および分散性向上技術の開発
担当機関 石川農総研
研究期間 2001~2006
研究担当者 越野勝彦(㈱柴舟小出)
三浦靖(岩手大学)
三国克彦(塩水港精糖㈱)
三輪章志
山田幸信
小林昭一(岩手大学)
中村恵美
中村徹也(㈱スギヨ)
発行年度 2008
要約 抹茶の油脂分散液とデキストリンの水分散液を作製し、二種の液を混合攪拌した後に乾燥する。これにより、抹茶を油脂で被覆し、さらにデキストリンで被覆した粉末が製造できる。この結果、抹茶の退色防止と水分散性が向上する。
背景・ねらい 抹茶は、その色や風味を加工食品に付加するために原料として利用される。しかし、抹茶は、熱や光に弱く色調を保持しにくいことや、水に分散しにくいなどの欠点がある。そこで、抹茶の色調保持と分散性の向上を目的とした食品素材の製造方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 抹茶を親油性乳化剤の添加で油脂に分散させた液とデキストリンを親水性乳化剤の添加で水に分散させた液を作製し、二種の液を混合攪拌した後に乾燥する。これにより、抹茶を油脂で被覆し、その周りをデキストリンで被覆した食品素材が製造できる(図1)。本製造法で製造する食品素材を糖質ラップと命名する。
  2. 抹茶糖質ラップの水への分散性は、無処理の抹茶51.3%から90%に向上する(図2)。
  3. 抹茶糖質ラップを使用して製造した抹茶水羊羹の製造時の加熱工程における色調保持効果を加熱前の色調と退色率で比較すると、無処理の抹茶が6.8%に対し抹茶糖質ラップでは、0.9%と加熱による色調保持効果が向上する(図3)。
  4. 抹茶糖質ラップを原料に製造した水羊羹に対して光を1日8時間ずつ照射して、商品の色調変化を彩度で評価すると、商品色調最低基準値(K社基準)の18.7に対して無処理の抹茶を使用した水羊羹は製造後6日で基準値以下となるが、抹茶糖質ラップを使用した水羊羹では、製造後15日目でも商品限界値以上に維持できた(図4)。これは、抹茶糖質ラップに加熱による色調保持効果が、水羊羹製造後の色調変化に影響したものである。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果により抹茶以外の脂溶性色素および食材を使用した食品の色調が保持されるため商品品質が向上することも確認している。また、脂溶性色素および食材の水分散性の向上により、従来利用しにくかった水分含量の多い食品(飲料、水産練り製品など)への利用範囲が拡大する。
  2. 本成果を応用して、色素以外のDHA、EPA、α-リポ酸、CoQ10などの機能性脂溶性素材の水分散性や安定性の向上についても確認しており、食品分野のみならず化粧品、医薬品の分野での応用も期待できる。
図表1 218904-1.gif
図表2 218904-2.gif
図表3 218904-3.gif
図表4 218904-4.gif
カテゴリ 加工 乾燥 機能性 抹茶

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