タイトル |
DNAマーカー利用によるイチゴ四季成り性のQTL解析 |
担当機関 |
兵庫中農技 |
研究期間 |
1996~2001 |
研究担当者 |
玉木克知
山元義久
松本純一
杉本琢真
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発行年度 |
2001 |
要約 |
イチゴの四季成り性品種「エバーベリー」×一季成り性品種「とよのか」のF1個体群を用いて四季成り性に関するQTL解析を行うことによって高いLOD値の領域を見いだし、これらのDNAマーカーを用いると約80%の確率で四季成り性実生個体の判別が可能である。
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キーワード |
イチゴ、四季成り性、DNAマーカー、RAPD、QTL解析
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背景・ねらい |
イチゴの促成栽培が一般化して以来、冬の果実的野菜として定着し、価格の年次変動が少なく、安定した需要に支えられている。しかし、現在の促成栽培技術による早期出荷はほぼ限界に達しており、また冬季以外でもケーキ用などとしての需要がありこれらに応えるためには四季成り性品種の開発が必要である。そこで、四季成り性品種の交雑育種を迅速化するため、交雑個体の開花を待たずに四季成り性か否かを判定可能なDNAマーカー開発を目的としてQTL領域の探索を行った。
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成果の内容・特徴 |
- イチゴの四季成り性品種「エバーベリー」と一季成り性品種「とよのか」を交配し、雑種第1代目を用いてDNAマーカーの連鎖解析、および四季成り性に関するQTL解析を行う。
- 四季成り性の形質評価は、日長を16時間以上、最低気温を17度以上に設定して一季成り性品種では花芽が形成されない条件で管理し、開花する個体を四季成り性とする。
- イチゴのDNAは、未展開の幼葉からPEG法(Greenwood et al., 1989)を一部改変した方法かPlant DNAzo1 Reagent(GIBCO BRL社)を用いた方法によって抽出する。
- DNAマーカーとしては10塩基のプライマーによるRAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)を用いる。PCR反応のDNA合成酵素にはAmpliTaq Gold(アプライドバイオシステムズ社)を用いる。PCR条件は、95℃9分間の後、95℃30秒間→40℃30秒間→72℃1分間を40サイクル繰返し、最後に72℃10分間とする。
- RAPDマーカーの連鎖解析にはコンピューターソフトのMapmakerを用い、QTL解析には qGENEを用いる。
- インターバルマッピングの結果、四季成り性のQTL領域が検出された連鎖群は5個のDNAマーカー(表1)からなり、すべて「エバーベリー」由来のものである。この連鎖群の全長は15.7cMであり、155個体で解析を行ったときの最高のLOD値は11.94と非常に高い値となる(図1)。
- マーカーOPB05_Aを用いると、マーカーの有無と形質とは約80%一致する。
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成果の活用面・留意点 |
- すべてRAPDマーカーを使用しており、PCRのDNA合成酵素の種類等が異なるとバンドパターンが変わる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育種
いちご
栽培技術
出荷調整
DNAマーカー
品種
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