遺伝子導入による萎黄病抵抗性イチゴ育種素材の作出法

タイトル 遺伝子導入による萎黄病抵抗性イチゴ育種素材の作出法
担当機関 奈良県農技セ
研究期間 1999~2001
研究担当者 浅尾浩史
都築正男
西崎仁博
西澤洋子(農業生物資源研究所)
新名惇彦(奈良先端大)
発行年度 2001
要約 prxC2(西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ遺伝子)あるいはRCC2(イネ由来キチナーゼ遺伝子)をアグロバクテリウム法でイチゴ「アスカルビー」へ導入した個体を、イチゴ萎黄病菌汚染土壌で検定することによって、病害抵抗性個体を選抜できる。
キーワード prxC2、RCC2、イチゴ、萎黄病、抵抗性個体
背景・ねらい イチゴ新品種「アスカルビー」は良味・高品質で市場から高い評価を受けているが、萎黄病等の病害によって、栽培農家の経営を圧迫している。耐病性イチゴ品種の開発が望まれており、萎黄病抵抗性品種を利用できれば、育苗から本圃での栽培までの汚染による打撃が回避できる。そこで、アグロバクテリウム法によって、イチゴ「アスカルビー」に有用遺伝子を導入して、萎黄病抵抗性個体を選抜・育成する。
成果の内容・特徴
  1. 導入には、CaMV35S-prxC2遺伝子(西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ遺伝子)、EN4-RCC2遺伝子(イネ由来キチナーゼ遺伝子)を組み込んだバイナリーベクター(pBI121)を持つアグロバクテリウムを用いる。「アスカルビー」の無菌培養植物の葉と葉柄組織に感染させ、2日間共存培養後、選択培地で選抜する。選択はショ糖3%、BA2mg/L、2,4-D 0.2 mg/Lを加えたMS培地(寒天0.8%)、再分化は2,4-D 0.2 mg/Lを除いた培地、発根はホルモン無添加のMS培地で、それぞれカナマイシン50mg/L、カルベニシリン100 mg/Lを添加する。
  2. 表1に示すとおり、prxC2導入個体は154個体(7.0%)、RCC2導入個体は56個体(3.6%)得られており、遺伝子の導入はPCRによって確認している。
  3. 隔離温室で生育させた形質転換「アスカルビー」を、菌密度が50,000cfu/g乾土の萎黄病菌の汚染土壌に2001年9月2日に定植した後、11月29日に発病程度を調査すると、prxC2導入個体では5個体(783、785-1、785-2、819-1、819-2)、RCC2導入個体では1個体(341)が発病せず抵抗性を示す(表2、表3)。
  4. prxC2あるいはRCC2の導入は萎黄病抵抗性個体の作出に有効である。

成果の活用面・留意点
  1. 萎黄病抵抗性の検定を繰り返し行い、安定的に抵抗性を獲得した個体を選抜する必要がある。
  2. 遺伝子導入の手法を用いているので、安全性評価試験を行う必要がある。

図表1 219046-1.jpg
図表2 219046-2.jpg
図表3 219046-3.jpg
図表4 219046-4.jpg
カテゴリ 萎黄病 育種 育苗 いちご 経営管理 栽培技術 新品種 抵抗性 抵抗性品種 病害抵抗性 品種 わさび

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