無加温ハウス栽培による晩生カンキツ「南津海」の生産貯蔵技術

タイトル 無加温ハウス栽培による晩生カンキツ「南津海」の生産貯蔵技術
担当機関 山口大島柑きつ試
研究期間 1996~2000
研究担当者 岡崎芳夫
宮田明義
棟居信一
発行年度 2001
要約 無加温ハウス栽培による晩生カンキツ「南津海」の収穫適期は、3月中旬~4月中旬である。安定した果実品質を得るためには、葉果比は15~30とする。果実は湿度80~85%、温度8℃程度の条件下で約50日の貯蔵が可能である。
背景・ねらい 瀬戸内のカンキツ産地では冬季の低温のため、越冬の必要なカンキツ類の栽培は少ない。しかし近年、労力分散と経営安定のために、3月から5月にかけて出荷可能な晩生カンキツの導入および、その生産技術の確立が求められている。
「カラ」マンダリンの珠心胚実生として山口県内で育成された「南津海(なつみ)」(商標登録申請中)は、良食味の晩生カンキツであることから、産地への導入が進みつつある。そこで、「南津海」の果実品質および生態特性を調査し、無加温ハウス栽培による生産技術を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 「南津海」は、「カラ」マンダリンに比べて減酸が早く、無加温ハウス栽培での収穫時期は、露地栽培に比べて1か月程度早い3月中旬から4月中旬であり(表1)、可食期は4月中旬から6月中旬である。露地栽培での収穫時期は5月上旬から中旬、可食期は5月下旬から6月下旬である。なお、収穫の遅れは浮皮と回青を助長するため、 適期の収穫が必要である。
  2. 無加温ハウス栽培で安定した果実品質を得るために、葉果比を15~30とする(表2)。葉果比60以上では果汁内容が低下する。また、葉果比45以上では大果となり、大果になるほど多くの種子を含む。そのため、140~160g程度の果実となるよう9~10月の摘果で調整する。 なお、摘果基準は9月1日時点で45mm以上、10月1日時点では60mm以上を目安とする(データ省略)。
  3. 果実の貯蔵は湿度80~85%、温度8℃程度で約50日間可能である(表3)。それ以上の長期貯蔵を必要とする場合には、貯蔵開始から貯蔵温度を5℃程度とする。
成果の活用面・留意点
  1. 「南津海」は、無加温ハウス栽培あるいは露地栽培でもハウスミカンと同時期に出荷できるため、多くの燃料を必要とするハウスミカンに比べて、省エネ、低コスト栽培方法として活用できる。 
  2. ビニール被覆は、11月から収穫終了時までとする。収穫前にハウス内の気温が30℃以上になると浮皮が発生するため、25℃以下になるように換気を行う。ビニールの部分開放による換気の場合には、鳥害対策が必要である。
図表1 219216-1.jpg
図表2 219216-2.jpg
図表3 219216-3.jpg
カテゴリ 経営管理 出荷調整 省エネ・低コスト化 鳥害 長期保存・貯蔵 低コスト栽培 保存・貯蔵 良食味 その他のかんきつ

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