タイトル | カンキツ樹掘り取り用油圧ショベルアタッチメントおよび利用法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
岡戸敦史 角川修 猪之奥康治 田中宏明 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 傾斜地カンキツ樹の根の掘り取り作業に、開発したアタッチメントを装着した油圧ショベルを使用すると、地表近くの細根が良好な状態で掘り取ることができ、1樹あたりの作業時間は6分以内と効率的である。 |
キーワード | カンキツ樹、根掘り取り、油圧ショベル |
背景・ねらい | カンキツ作では、消費者の嗜好に合わせた品種が開発され、新しい品種の中には高価格で取引されているものがあり、樹勢が衰えて価格が低迷している果樹を改植する動きが大きくなっている。しかし、傾斜地での改植作業には困難が多く、古くなった果樹を抜根せずに幹を根元で切断、放置していることが多い。一方では、改植時に早期成園化する技術として、成木を移植する技術がある。そこで、傾斜地でも抜根作業が可能で、地表面付近の細根を残しながら成木移植にも利用できるような根を掘り取る技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 傾斜地や作業空間の狭いカンキツ園でも操作ができる小型油圧ショベルを用い、土を掘削するバケットに替え、バケットの底と同様な曲線の櫛刃をフォーク状に並べたアタッチメントを使用する(図1、表1)。アタッチメントは、櫛刃の変形を防ぐため、櫛刃間を補強材で連結し、先端近くには直根切断用の根切り刃を配置している。 2. 油圧ショベルで樹間に入り、果樹の頭越しにアームを伸ばし、片側から畝の底面に櫛刃を差込み、地表面付近の土塊を崩さずに0.1~0.3m持ち上げ、反対の畝間から同じ作業を行なう(図2)。 3. 本アタッチメントを使用すると、地中真下に伸びる根を切断し、不要な土を櫛刃の間から落下させるので、油圧ショベルのアームに加わる力を軽減できる。また、土の移動が必要ないので、標準的なバケットの使用に比較して効率的な掘り取り作業ができる。 4. 掘り上げられた果樹の根は、地表近くの細根が良好な状態で残っており、成木移植が可能である(図3)。 5. 本アタッチメントを小型油圧ショベルK社製KH-014(11.8kW、機体幅1.25m)クラスに装着し、高畝栽培における成木移植用の果樹の掘り取り作業の能率は、1樹あたり1分30秒~6分で、トラックへの積み込みを含めても7分程度と効率的である。(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 改植のために古樹を撤去する高畝栽培の園地改造での実証試験では、1日に100本近くの抜根ができた。 2. アタッチメントのサイズは、油圧ショベルの性能や大きさで制限されるので注意する。 3. 樹高2m以上の果樹を成木移植に掘り取る場合、油圧ショベルによる枝の損傷を避けるため、切り下げが必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 改植 傾斜地 早期成園化 品種 その他のかんきつ |