表面吸光度を利用したなす果皮中アントシアニン含量の予測技術

タイトル 表面吸光度を利用したなす果皮中アントシアニン含量の予測技術
担当機関 大阪食とみどり技セ
研究期間 2002~2002
研究担当者 橘田浩二
中村 隆
入江正和
発行年度 2002
要約 ナスの外観品質として重要なアントシアニン含量は、光を果皮表面に照射したときの波長710 nmにおける吸光度を測定し、予測式Y(予測値)=1.1975X(710nmにおける吸光度)-0.0594に当てはめることによって予測できる。
背景・ねらい ナスにとって果皮色素(アントシアニン)は重要な品質項目であるにもかかわらず、通常では色の濃淡は達観で評価されている。現状では、ナス果皮中アントシアニンの多寡は機器分析によって測定する手法しかないため、流通現場などで実施できるような簡便かつ迅速な非破壊測定法を開発する。
成果の内容・特徴 1.
'水ナス'果皮表面44ヶ所を試料とし、それぞれの部位について、可視・近赤外分光反射率計によって得られる400~1100nmの分光吸収スペクトルの波長の中から、抽出法で測定した同一部位のアントシアニン含量(実測値とする)と最も強い相関を示す波長を調査すると、710nmが選択される(図1)。
2.
710nmにおける果皮表面の吸光度とアントシアニン含量実測値との関係は、Y(実測値)=1.1975X(710nmにおける吸光度)-0.0594、r=0.93(n=44)となる。この関係を利用して、Y(予測値)=1.1975X(710nmにおける吸光度)-0.0594を予測式とすることができる(図2)。
3.
予測式作成用試料と同じ母集団からの別の試料を用いて予測式を評価すると、実測値と予測値との間には単相関係数r=0.92(n=36)の関係があり、標準予測誤差はSEP=0.034となる。予測精度が良好と判断されることから、この予測式によってナス果皮中アントシアニン含量を非破壊で予測可能である(図3)。
4.
作型や栽培方法、品種が異なる試料を対象としても、遮光栽培のようにアントシアニン含量が著しく低い場合を除いて、概して予測可能である。しかし、誤差要因を排除するため、それぞれの母集団ごとにバイアス補正の実施が望ましい(図4)。
成果の活用面・留意点 1.
簡便かつ迅速な非破壊測定機開発の基礎資料とする。
2.
貯蔵や漬物加工における色素含量の消長など、非破壊測定によって同一部位の追跡が可能となる。
3.
本成果の予測式は、5個の果実を用いて1個当たり8~10ヶ所を試料とする44試料によって作成した。各試料は果皮表面における直径14mmの円形部分とした。
4.
アントシアニン含量実測値は、非破壊測定と同一の果皮表面部位の円部分を5%ギ酸20mlに20時間以上浸漬して得たアントシアニン抽出液の525nmでの吸光度で示した。
図表1 219418-1.gif
図表2 219418-2.gif
図表3 219418-3.gif
図表4 219418-4.gif
カテゴリ 加工 なす 品種

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