タイトル | 被覆肥料の茶園全面施用による施肥効率の向上 |
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担当機関 | 滋賀県農業総合センタ- |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
志和将一 吉澤喜代雄 中嶋治男 和田義彦 忠谷浩司 近藤知義 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 秋肥として2年に1回被覆肥料など緩効性の肥料を茶樹の株下を含めた茶園全面に施用し年間の窒素施用量を40kg/10aとしても、年間窒素施用量70kg/10aの慣行施肥と同等の収量・品質が得られる。また、施肥量の節減により溶脱する硝酸性窒素濃度が約30~40%低下すると推定される。 |
キーワード | 茶園全面、被覆肥料、緩効性肥料、茶株下、収量品質、硝酸性窒素濃度 |
背景・ねらい | 茶栽培においては、環境への窒素負荷低減が緊急の課題となっている。そこで、秋肥として被覆肥料や超緩効性肥料を茶樹の株下を含めた茶園全面に施用し、長期間にわたって表層根全体に窒素を供給することにより窒素の利用率向上と施肥量節減を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 茶樹の株下を含めた茶園全面に2年間で1回20kgN/10aを秋期に施用して、その他はうね間施肥とする体系を全面施肥とし、施肥をうね間に限定した慣行法と比較した。株下には被覆燐硝安カリ270日タイプ(以下、被覆肥料)もしくは尿素系縮合ポリマー(以下、緩効性肥料)を施用した。全面施肥は2年間で80kgN/10a(年平均で40kgN/10a)を施用し、慣行法は年間70kgN/10aである(表1)。 2. 土壌溶液の硝酸性窒素濃度は、雨落ち部、株下とも慣行施肥に比べ全面施肥の両処理が年間を通して低く推移する。茶園全体から溶脱する硝酸性窒素濃度を推定すると、全面施肥の両処理は慣行施肥よりも30~40%低くなる(図1、2)。 3. うね間土壌の無機態窒素量は、試験開始から1年は慣行施肥が高く推移するが、その後はいずれの処理もほぼ同様の傾向を示す。一方、株下土壌の無機態窒素量は全面施肥の両処理が多く、特に被覆肥料の全面施肥が高く推移する(図3)。 4. 生葉収量は一・二番茶ともにいずれの処理の間にも有意な差がみられない(表2)。 5. 荒茶のアミノ酸含有率は慣行施肥に比べ一番茶で全面施肥の両処理が高く、二番茶では全面施肥の両処理が低くなる傾向がみられる。また、荒茶の販売単価はいずれの処理もほぼ同等となる(表2)。 6. 以上のことから、全面施肥により施肥量を節減しても収量は慣行施肥と同等で、一番茶ではアミノ酸含有率が高まる傾向がみられるなど品質は同等以上となる。また、施肥量節減により、溶脱する硝酸性窒素濃度を低下させることができる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 被覆肥料や緩効性肥料は背負い式肥料散布機で茶株の上から散布し、株下に肥料を落とす。 2. うね間のマルチ技術との併用も可能である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 施肥 茶 肥料散布 |