タイトル |
軽量培地と固形肥料を用いたイチゴのベンチ無仮植育苗法の開発 |
担当機関 |
奈良県農業技術センター |
研究期間 |
2002~2003 |
研究担当者 |
西本登志
木矢博之
信岡 尚
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発行年度 |
2003 |
要約 |
土壌伝染性病害に対して安全で省力性に優れたイチゴのベンチ無仮植育苗法を開発した。培地素材にはおがくず・もみがら・ピートモス等が使用可能で、追肥として固形肥料を月1回ランナー伸長範囲に表層施用することで苗数が確保できる。
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キーワード |
イチゴ、隔離育苗、ベンチ、無仮植育苗、培地
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背景・ねらい |
2005年の臭化メチル全廃を控え、有効な代替薬剤も見当たらないことから、安全で低コストかつ省力的なイチゴの隔離育苗システムの開発が喫緊の課題である。育苗システムの開発にあたっては、軽量・安価な培地素材の選定と省力的・効果的な施肥方法の確立が必要である。
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成果の内容・特徴 |
- ベンチ育苗は、病原菌に汚染されていない培地を用い毎年培地を更新するため土壌伝染性病害に対して安全で、さらに、無仮植育苗法を採用することで省力性が向上する(図1)。ベンチは鉄パイプ・エキスパンドメタル等を用いて容易に組み立てることができる。また、ベンチ底部の中央及び端から厚手の不織布を下垂させ、培地内余剰水分の排出を促す。
- 育苗用培地として適しているのは、おがくず(国産ヒノキ)単用培地、上部:やしがら20%+下部:もみがら80%(容積比)の2層培地、およびピートモス20%+もみがら80%(容積比)の混合培地で、これらは他の培地に比べて子苗発生数と根量で優れる(図2)。また、従来の土耕無仮植育苗と比較して子苗の根量が多くなり、同等以上の収量を得ることができる(図3)。
- 使用済みのおがくずは水田に鋤込むことで廃棄できる。また、その他の培地はハウスの太陽熱消毒前に投入することで土壌改良材として再利用できる。
- 親株定植時に緩効性肥料(IBS-1号、ロング100日タイプ)を40g程度表層施用し、1月毎に緩効性肥料(IBS-1号)をランナー伸長範囲に表層施用することで、親株あたり70株以上の子苗を得ることができる(図4)。
- 本圃10a分の定植苗を増殖するのに必要なベンチの長さは、ベンチ幅を135cmとすると約50mで、設置にかかる費用は培地を含まないで約20万円である。また、培地の購入費用は、上記のいずれの培地についてもベンチ50mあたり約15千円である。
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成果の活用面・留意点 |
- 親株には無病苗を用いる。活着を促すため定植前には植え穴周辺にポット用土を2リットル程度入れておく。
- 病害が発生しなかった場合でも病原菌密度の上昇が懸念される。今のところ有効な培地消毒手段がないため、培地は毎年更新する。
- 炭疽病激発地や炭疽病への迅速な対応が困難な経営体に導入する場合には、発生時の雨滴による病原菌の飛散を防止するため、雨除けハウス下にベンチを設置する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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