タイトル |
チャコウラナメクジ忌避資材のスクリーニング法 |
担当機関 |
大阪食とみどり技セ |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
久保田 豊
柴尾 学
田中 寛
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発行年度 |
2004 |
要約 |
メタアルデヒド剤への誘殺数測定により忌避効率を評価するとともに、陽光曝露および散水処理により耐光性、耐雨性を評価するスクリーニング法はチャコウラナメクジに対する各種資材の忌避効果を的確かつ効率的に評価できる。
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キーワード |
チャコウラナメクジ、忌避資材、スクリーニング法、物理的防除
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背景・ねらい |
チャコウラナメクジはさまざまな野菜・花き・果樹の重要害虫であるが、昼間は土中に潜るため、生態・行動に不明な点が多い。また、植物を用いたトラップは試験が大がかりで煩雑になるため、優れた物理的防除法のひとつである忌避資材の評価は容易でない。そこで、メタアルデヒド剤を用いた誘殺トラップまたは本剤を直接忌避資材上に置くスクリーニング法を開発するとともに、陽光曝露および散水処理により、忌避資材の耐光性・耐雨性を併せて評価する。
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成果の内容・特徴 |
- フィルム状供試資材の場合は、六角錐屋根型容器(底面直径11cm×高さ8cm)にメタアルデヒド粒剤1gを入れたトラップを、処理区では資材の中央に置き(図1左)、無処理区では地上に置く。容器状供試資材の場合は、処理区ではメタアルデヒド粒剤を資材の内側中央に直接置き(図1右)、無処理区では地表面に直接置く。これらをウンシュウミカン樹下に夕刻設置し、翌朝回収して誘殺されたナメクジを計数するとともに、忌避効率(%)=100×(無処理区誘殺虫数-処理区誘殺虫数)/無処理区誘殺虫数、の式により忌避効率を計算する。
- 資材の耐光性・耐雨性は、ガラス室内に資材を吊して陽光に曝露するとともに、毎日1回2秒間シャワー散水することにより試験する。
- 陽光曝露・散水処理前のフィルム状資材の多くは忌避効率が100%(ナメクジ誘殺数0である(図2)。忌避効率は、大半の資材では30日以内の陽光曝露・散水処理により大きく低下するが、処理50日後でもビスヒドロキシドデシルアミン6%塗布フィルムでは100%、銅結合キトサン粉末1.0g塗布フィルムでは80%で、高い効果が持続する。銅板も含め、116種の供試資材のうちでビスヒドロキシドデシルアミン6%塗布フィルムの忌避効果が最も優れる。
- 容器状資材(2mm厚の紙)の忌避効率は、銅30%含有紙は銅不含紙に比較し、深さ6~7cmのもの(深皿およびポット)では忌避効率が90%以上で、深さ0~2cmのもの(円盤およびトレイ)より高い忌避効率が認められる(図3)。また、銅含有紙にはナメクジの上昇・登坂を抑制する効果があると推察される。
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成果の活用面・留意点 |
- 本スクリーニング法は多数の資材の忌避効果および耐光性、耐雨性を効率的に評価できる。
- フィルム状供試資材において誘殺トラップは不可欠でないが、誘殺トラップがあるとナメクジの行動が活発な雨天に試験できる利点がある。
- 銅含有紙のように、平面上での忌避効果が低いにもかかわらず、ナメクジの上昇・登坂を抑制する効果が認められる場合があるので、注意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
温州みかん
害虫
防除
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