タイトル |
小麦共生細菌由来低分子糖脂質の投与による鶏自然免疫賦活獲得 |
担当機関 |
徳農総セ |
研究期間 |
2003~2004 |
研究担当者 |
河内千恵(徳島文理大学)
杣源一郎(徳島文理大学)
澤 則之
|
発行年度 |
2004 |
要約 |
小麦共生細菌由来の低分子糖脂質を配合した抗菌剤無添加飼料で飼育することにより、肉用鶏の育成成績及び抗病性が向上する。
|
背景・ねらい |
近年、消費者ニーズに対応するため肉用鶏生産は、抗菌剤無添加飼料で飼育する飼養形態が多くなっている。しかしながら、生産性を落とさず微生物汚染の防御を達成可能な生産管理技術は未確立であり、安全で広汎な感染予防を可能とする新たな飼養方法を確立することが急務である。そこで、小麦共生細菌(Pantoea agglomerans)由来の低分子糖脂質(以下LPSp)を飼料添加した抗菌剤無添加飼料を作製し、その効果を育成成績・抗病性の観点から検討した。
|
成果の内容・特徴 |
- 肉用鶏一鶏舎約5,000羽(試験1)5,800羽、試験2)5,300羽)を用いた。LPSp量10μg/日・羽を含有する抗菌剤無添加飼料を作製し、3週齢から7週齢の間連続給与した。対照区はLPSpを含まない抗菌剤無添加飼料とした。
-
育成成績は、表1及び図1に示すとおり、試験2)の出荷体重を除き試験区が対照区に比べ有意(P<0.001)に優れていた。死廃率も2%以下であり、LPSp配合飼料は抗菌剤無添加飼料でありながら、抗菌剤配合飼料給与と同等の効果が示唆された。
-
血液生化学検査においてα1酸性糖蛋白が<図2>に示すとおり、出荷時には対照区と比較して低値となり、LPSp配合抗菌剤無添加飼料給与群ではストレス応答や感染症の軽減が示唆された。
-
免疫賦活検査は、図3に示すとおり、LPSp配合抗菌剤無添加飼料給与群から回収したマクロファージでは大腸菌死菌による刺激試験で、感染防御活性の指標となる一酸化窒素(NO)産生が対照に比べ、有意に増強した。
-
LPSpを飼料添加することに作製した抗菌剤無添加飼料を用いた肉用鶏飼育により、抗菌剤と同等以上の感染防除効果が得られ、このことが高い生産性向上に繋がったと考えられる。この効果は、LPSpが自然免疫賦活に基づきマクロファージの非自己識別能力、排除能力を高める機能を持つことによると考えられる。
|
成果の活用面・留意点 |
-
LPSpは、高価であり飼料原料としての大量生産技術の確立が必要である。
-
LPSpが天然物として素材化できれば、抗生物質・化学物質を代替する無薬飼育用機能性原料として広範な用途が期待できる。
-
飼料原料として使用する際には効能効果は記載できない(薬事法上)。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
病害虫
管理技術
機能性
小麦
出荷調整
鶏
防除
|