タイトル | 無農薬栽培コマツナの害虫に対する防草用シートと天敵バンカー法の効果 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
安部順一朗 高田 肇(京都府立大学) 巽えり子(京都府立大学) 長坂幸吉 田中和夫 萩森 学 尾島一史 |
発行年度 | 2004 |
要約 | コマツナ周年無農薬栽培での主要害虫キスジノミハムシとダイコンサルハムシの防除には、発生源となるアブラナ科雑草をなくす防草用シートの敷設が有効であり、アブラムシ類に対しては天敵ダイコンアブラバチのバンカー法による放飼が有効である。 |
キーワード | キスジノミハムシ、ダイコンサルハムシ、防草用シート、ニセダイコンアブラムシ、ダイコンアブラバチ、バンカー法 |
背景・ねらい | 中山間地域でのアブラナ科野菜の減農薬生産においては多様な害虫が問題となる。特に、有機JAS認証等農薬使用に制限のある栽培においては、化学合成農薬以外の対策が求められている。そこで、コマツナの周年無農薬栽培で問題となる害虫を明らかにし、害虫発生源をなくす防草用シート敷設と天敵放飼の効果を害虫密度の年次変動から解明する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 雨よけハウスで長繊維不織布のじかがけを利用して周年無農薬栽培をしているコマツナでは、キスジノミハムシ、ダイコンサルハムシ、ヤサイゾウムシといった甲虫類の食害やニセダイコンアブラムシ等のアブラムシ類の付着が問題となる。 2. 上記3種の甲虫類は食葉性の害虫の大部分を占め(図1)、コマツナの食害葉の割合はこれら3種の密度と有意な相関関係にある(R2=0.396, p0.01)。 3. ハウス周囲に頻繁に見られるアブラナ科雑草イヌガラシではキスジノミハムシ、ダイコンサルハムシ等、コマツナと共通の害虫が発生する(データ省略)。 4. 防草用シートをハウス周囲に敷設し、アブラナ科の雑草等、害虫の発生源をなくすことにより、キスジノミハムシとダイコンサルハムシの密度が低下し(図1)、被害も減少する(図2)。 5. アブラムシ類に対しては、天敵のダイコンアブラバチ(Diaeretiella rapae )をハウス内に放飼することにより、各年の発生ピーク時期においても株あたり1頭以下と低密度に抑制することができる(図3)。 6. ダイコンアブラバチの放飼には、代替寄主にトウモロコシアブラムシ、その寄主植物にオオムギを使ったバンカー法が効果的であり、プランター1個分のバンカー植物に500~1000個のマミーをつけて放飼すれば、1aのコマツナ1作の全期間(約1ヶ月)有効である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 京都府美山町で5年以上コマツナの無農薬周年栽培を続けた圃場(有機JAS認証)での事例である。4棟のハウス面積は各約2a。ハウス間隔は2~3m。ハウス棟間と周囲1.5~2mに防草用シートを2002年9月に敷設。ハウス内では2001年7月から長繊維不織布のじかがけを実施。ハウス3のみ2002年11月側面開口部へ0.6mm防虫ネット取り付け。 2. ダイコンアブラバチは日本全国に分布する。しかし、製剤化されていないため、バンカー法により放飼するためには、ダイコンアブラバチの増殖が必要である。代替寄主に寄生させるときは0.6mm目合い以下のネットで1週間程度囲っておく必要がある。 3. 冬期に発生するヤサイゾウムシは減少しておらず、これへの対策は別途検討中。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 あぶらな 害虫 こまつな 雑草 だいこん 中山間地域 とうもろこし 農薬 防除 |