タイトル | ヘアリーベッチリビングマルチを用いた低投入型ジャガイモ栽培 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2004~2005 |
研究担当者 |
吉川省子 藤井義晴(農環研) 藤原伸介(中央農研) 村上敏文(東北農研) 花野義雄 吉田正則 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 2月下旬にジャガイモを植え付け、畝肩∼畝間にヘアリーベッチを播種し、双方の草丈が同じになる4月下旬頃に中耕することにより、堆肥約1.5t/10a、あるいは化成肥料窒素2∼8kg/10aの肥料効果が得られ、雑草量は1/3に抑えられ、減資材栽培が可能である。 |
キーワード | ヘアリーベッチ、リビングマルチ、ジャガイモ、肥料効果、雑草抑制効果 |
背景・ねらい | 近年、農地へ投入する化成肥料や農薬を減らした、低投入型の農業技術のニーズが高まっている。これまで、肥料効果と雑草抑制効果を有するヘアリーベッチを用いたショウガ、サトイモ等や水稲の栽培技術を提案してきた。しかし、ジャガイモのように収穫期がヘアリーベッチ最盛期と重なる作物については、検討されていない。ここでは、ヘアリーベッチリビングマルチを用いた低投入型ジャガイモ栽培方法を策定する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ヘアリーベッチを用いたジャガイモ(メークイン)栽培の収量は、中耕することで向上し、堆肥の施用の有無、植え付け深さ、ヘアリーベッチの早生種か中生種かにかかわらず、慣行栽培(化成肥料、堆肥施用、中耕有、ベッチ無、植え付け浅)と同等量が得られる。ヘアリーベッチの生育は処理間で大きな差はなく、地上部乾物重で約250 g/m2で、すき込みN量は約10kg/10aであり、バーク堆肥(N 0.70%、無機態N 0.035%(現物)、C/N比23)1.5t/10a(N量は約10kg/10a)程度の肥料効果が得られると推定される(図1)。ジャガイモ(男爵薯)でも、ほぼ同様の結果である。 2. 化成肥料窒素施用量を変えたジャガイモ(メークイン)栽培試験によれば、中耕によってすき込まれたヘアリーベッチの化成肥料窒素代替効果は、化成肥料窒素施用量0 kg/10a、10 kg/10a、20kg/10aにおいて、それぞれ8kg/10a、4kg/10a、2kg/10aに相当する(図2)。 3. ヘアリーベッチ生育(リビングマルチ)土壌あるいはヘアリーベッチ地上部すき込み(混合)土壌を用いた雑草種子出芽試験によれば、いずれの土壌においても出芽抑制効果が2∼3か月間みられ(図3)、実際の圃場においても、ジャガイモ収穫期の雑草量は、堆肥施用の有無にかかわらず、中耕によりヘアリーベッチをすき込むと、ベッチ無・中耕区の1/6∼1/3(乾物重50∼80kg/10a)に減少し、除草の必要がない。 4. 以上のことから、種いも植え付け直後にヘアリーベッチを播種し、双方の草丈が同じ位になる時期に中耕し、ヘアリーベッチをすき込む栽培方法(図4)は、すき込まれたヘアリーベッチの肥料効果および雑草抑制効果が発現し、減資材栽培が可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 堆肥の2年目以降の肥料効果については検討していない。 2. 西南暖地では適用可能であるが、寒冷地での栽培法の検討が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 肥料 病害虫 栽培技術 雑草 さといも しょうが 除草 農薬 播種 ばれいしょ |