タイトル | 給餌条件でコナガの増殖抑制に必要なコナガサムライコマユバチの放飼比率 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2002~2006 |
研究担当者 |
安部順一朗 長坂幸吉 萩森学 尾島一史 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 蜜源を設置したコマツナ栽培ハウスでは、株あたり0.05頭のコナガ幼虫に対して、少なくとも1:6.4の放飼比率でコナガサムライコマユバチの雌成虫を放飼すれば、増殖を抑制できる。 |
キーワード | アブラナ科葉菜類、コマツナ、コナガ、コナガサムライコマユバチ、放飼比率 |
背景・ねらい | アブラナ科野菜類の重要害虫であるコナガは、薬剤抵抗性の獲得が早いため、農薬以外の防除手段の確立が期待されている。コナガサムライコマユバチは、コナガ幼虫の内部寄生蜂であり、日本に広く分布する土着天敵である。本種の成虫は、無給餌では短命で産卵数が少ないため、生物的防除資材として活用する際には給餌場所を用意する必要が指摘されている。そこで、蜜源を設置したコマツナ栽培ハウスにおいて、発生初期を想定した低密度のコナガの増殖を抑制するために必要なコナガサムライコマユバチの放飼比率を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. コナガサムライコマユバチ雌成虫の給餌のための蜜源(50%ハチミツ水溶液を浸み込ませたスポンジ)を6箇所に設置した1.3aハウス内において、ハウス内のコマツナ上に存在するコナガの2齢幼虫96頭(0.05頭/株)に対し、コナガサムライコマユバチの既交尾雌成虫15頭(放飼比率1:6.4)を放飼することで、コナガは初期個体数以下に抑制される(図1)。無放飼の場合にはコナガは初期個体数を上回って増殖する(図1)。 2. 図3)。 3. コナガの初期世代から第1世代までの世代間増殖率は、無放飼区で3.7∼34.7倍であるのに対し、放飼区では0.3∼2.4倍であり、放飼区でコナガの増殖抑制効果が確認される(表1)。コナガの初期世代から第1世代にかけての世代間増殖率の差から、コナガサムライコマユバチの寄生率は90.2∼93.0%と推定される(表1)。 4. 試験終了時のハウス内のコマツナの被害株率は、無放飼区で82.7∼94.7%であるのに対し、放飼区で32.0∼47.3%であり、放飼区でコマツナの被害が軽減される(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. コナガサムライコマユバチは、平成18年2月現在、農薬取締法に基づいて農薬登録されていないため、試験研究以外での増殖放飼による利用はできない。 2. 試験では、中山間地におけるアブラナ科葉菜類の周年栽培を想定し、ハウス内の畝ごとに播種日をずらしてコマツナを栽培したため、先に播種した畝の収穫時にはコマツナの持ち出しとともにコナガおよびコナガサムライコマユバチの持ち出しがあったと考えられる。 3. 試験実施時期の気温が必要放飼比率に与える影響を検討する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 あぶらな 害虫 こまつな 生物的防除 中山間地域 抵抗性 土着天敵 農薬 播種 防除 薬剤 |